年金も補償も無いのに定年を早める事で困難のみ生まれる

時事通信の記事より

サントリーホールディングスの新浪剛史社長は9日、経済同友会の夏季セミナーにオンラインで出席し、ウィズコロナの時代に必要な経済社会変革について「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」と述べた。新浪氏は政府の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)の民間議員を務めるなど論客として知られる。
45歳定年制導入を コロナ後の変革で―サントリー新浪氏 時事通信 2021年9月9日

 実質的には、早期退職をより強い形で求めるという、従来の解雇規制緩和論の一種でしょう。これの結果については、韓国で既に似たような事例があり(参考:1時間で1軒廃業…韓国チキン店、大量の失業中高年の墓場化 歪んだ韓国社会の縮図 高月靖 Business Journal )、早期退職が増えた結果、専門性が高くない職種に自営として手を出し、過当競争を生み出しました。実際、多くの人は特別な技能を持っているわけではなく、特別なコネクションがあるわけでも無いため、こうなるのは自明でしょう。
 そもそも、ここ数十年、非正規の増加で、実質的な解雇は山ほど行われてきましたが、労働生産性が上がったわけでも賃金が底上げされたわけでもなく、貧困状態になる人が増えたのみです。「解雇が厳しい日本社会」というのは、既に幻想でしかありません。本当に必要な事は、定年の引き下げみたいな安易な首切りよりも、専門知の活用で作業効率化をし、労働生産性を上げることや、賃上げ等で社会に利益を還元する事ではないでしょうか。目先の切り捨ては、個人も社会も貧しくなるだけという事に、そろそろ気付くべきではないでしょうか。

参考:「社員を解雇する権利」求める人が知らない真実 デービッド・アトキンソン

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