「長時間労働規制法案」の休息時間が制定されれば、過労死の危険は低まるだろう

  野党4党が「長時間労働規制法案」を提出したというニュースが先週はいってきました。

民進、共産、自由、社民の野党4党は15日、労働時間に上限を設ける「長時間労働規制法案」に罰則を強化した修正案をまとめ、衆院に提出した。(中略)修正案では、違法な時間外労働をさせた者に懲役1年以下または罰金50万円以下の罰則を追加した。

長時間労働抑制へ修正案=野党4党 時事通信 2016/11/15

 具体的な内容については、民進党のページから飛べますが、労働時間の延長に上限が規定されていたり(但し、現行法でも運用されていないが上限がある)選挙前の公約にもあった、次の労働開始時間までの休息時間(インターバル)が儲けられていたり、裁量労働制、事業外のみなし労働について、使用者がしっかり時間管理をする義務を設ける等、踏み込んだ規制を行うものになっています。
 私見としては、上限規制より、休息時間の制定のほうが長時間労働対策に対しては効果的であると考えます。何故なら、労働時間の上限規制があっても、休憩時間の悪用で「労働時間は短く見えても拘束時間は長い」という事になることも考えられます(そして、休息中なのに仕事をさせる悪質な事業所も少なくないです)。また、シフト制である場合も、たとえ実際の総労働時間は短くても、休息時間が短くなった結果、睡眠時間すら十分にとれずに健康を害する事が考えられます。
 しかし、休息時間が設定され、かつきちんと運用される事により、これらの危険性は低くなるでしょう。睡眠時間が十分確保できないことによって、過労死の危険が高まるということは、過労自殺の例を見ても明らかなので。

 尤も、他の労働法が、決して順守されていない現状を考えると、これがカタチだけの運用になる可能性が高いとも考えられます。最近起こった、電通過労死事件によって世間の過労死への関心は高まっているかもしれませんが、依然として労働基準監督官の数は不十分なので、結果労組などを通じて、時間も予算も掛かる裁判を行って企業の触法行為を認めさせるというケースが多いです。
 また、これらはあくまで野党法案であり、安倍内閣が『働き方改革実現会議』を設置する等労働問題には積極的に取り組んでいるとはいえ、どこまで実現できるかは疑問も大きいです。
 
 とはいったものの、このような法案が提出されることは歓迎すべきことでしょうし、骨抜きにされず、きちんと運営されることを願いたい所です。

参考:野党提出の労基法改正案、「裁量労働」の時間把握や「労働時間管理簿」の義務化に注目 <弁護士ドットコム>

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