立場を悪用した性暴力は刑事罰適用レベルで良いのではないか

東京税理士会の神田支部で性的暴行を受けたという女性の民事訴訟があり、女性側が高裁で勝訴したというニュースです。

東京税理士会神田支部で働いていた40代女性が、男性上司から性暴力被害を受けてPTSDを発症し、その後解雇されたとして、同支部と男性を相手取り、慰謝料などを求めた裁判の控訴審で、東京高裁は2月22日、請求を棄却した1審判決を破棄して、計約407万円の支払いを命じる逆転判決を言い渡した。
~中略~
訴状によると、東京税理士会神田支部の正職員として総務部の事務を担当していた女性は2019年8月、支部の総務部長(当時)と食事をしたあと、事務所で同意なく性的行為を受けたとしている。
税理士会支部の上司から性暴力、元職員の女性が逆転勝訴 代理人「同様の被害者に勇気与える判決」 弁護士ドットコム  2024年2月22日

 高裁判決はまあまあ真っ当なものだとは思いますが、あくまで民事的な責任を認めた判決に過ぎず、加害者は刑事的責任は負っていません。しかし、刑法第177条1項では、

前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。

とあります(2023年改訂)。なお、改定前も

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、こう門性交又は口こう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

とあり、上司と部下という立場的に断り辛い事柄を利用して性行為を迫る事が司法で脅迫と捉えられれば、強姦になり得ます。いずれにしろ、掲示的責任を負うには十二分な加害を行っている筈です。
そもそも、日本では仕事上の立場を悪用した暴行や脅迫がハラスメントとして跋扈しています。しかし、労働組合による糾弾や民事的責任を負う事はあれど、刑事罰となる事例はごくわずかで、温野菜フランチャイズ店(既に閉店)での暴行もかなりの紆余曲折があっての逮捕でした。最近だと某映画監督が逮捕された位です。過労死事件で死者が出た場合でも、たとえ上司や経営陣の怠慢であっても過失致死傷罪が適用された例はゼロです。仕事上の立場を悪用したものについて、日本で刑事罰を受ける事は非常に少ないのが現状です。
 昨今の某芸人の立場を悪用した性加害事件も顧みると、もっと刑事事件にしていく事で、予め加害を防いだ方が良いと思えてなりません。

にほんブログ村 政治ブログ 法律・法学・司法へ
にほんブログ村
宜しかったらこちらもクリックお願いします。

 

タイトルとURLをコピーしました