自殺が出て、かつ盛んに報道されなければ歯止めが効かない労働の現状

 先日、電通の石井社長が、自殺事件に絡み書類送検された経営責任を問われ、辞任しましたが…(参考のNHKニュース)。実際はそれまでに何度も是正勧告が行われていたというニュースが入ってきました。

 (前略)各地の労働基準監督署から10回の立ち入り調査を受け、労使協定(三六協定)で定めた上限を超える違法な残業をさせていたとして5回の是正勧告を受けていたことが29日、関係者への取材で分かった。

 立ち入り調査は2014年6月以降に6回と高橋さんの自殺前に集中。何度も問題点を指摘されていたにもかかわらず、違法な長時間労働を放置し、改善に努めてこなかった電通の姿勢が改めて問われそうだ。

 電通への立ち入り調査10回 違法残業、5回是正勧告 共同通信 2016/12/30

 あからさまな違法行為で5回も是正勧告を受けていたにもかかわらず、問題を改善しようとせず、自殺者を出してしまったという事です。これが、特殊な悪徳企業ではなく、誰もが知っている電通という大企業で起こった現実で、行政機関である労働基準監督署が動き出しても無意味だったという救いようのない事実を叩きつけられた感じがします。
 昨今、前の記事にもある通り労働基準監督署に対する期待が以前より高まっている感じがしますが、それでも法的ではない事はもちろんの事、人数不足や権限の問題故、多くの法的な事に対してすら無力な場合が多々あります。こういう場合、強力な労働組合が動き出すことで是正される場合も多いのですが、その手が届かない場合は、残念ながら死者が出て、かつセンセーショナルな報道で話題にならない限り、是正されることは稀です。
 尤も、死者が出るという事は最悪のパターンであり、これは何としても防がないといけないものなのですが、今でも頻繁に自殺者が出てるのが現状です(電通はたまたま大きく報道されたに過ぎない)。
 最近、厚生労働省はブラック企業名公表の基準を緩め、以前は月100時間以上の残業時間が基準でしたが、今後は80時間になったように(参考:ねとらぼのニュース)、行政側もどうにかして防ごうという方向には動いてるので、多少は希望が持てるかもしれませんが、現状は真面目な労働組合に頼るの現状です。
 くどいようですが、現状は組合が一番過重労働の歯止めになり得るものなので、どんどん活用していきましょう。

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