業務の効率化なしの残業対策は、パフォーマンスにしかならないのでは

g 大手企業が、長時間労働を是正する取り組みについてどのような対策をしているか、経団連が調査したというニュースが入ってきました。

この調査は、経団連が加盟する全国の大手企業などを対象に行い、270社から回答がありました。
この中で長時間労働を是正する取り組みについて複数回答で聞いたところ、「ノー残業デーの徹底」が最も多く67.8%でした。次いで残業する際はあらかじめ上司に申告する「時間外労働の事前申告制」が67%、残業しなくても済むように「業務の効率化」を進めるが55.2%となっていて、企業の間で、定時で仕事を終える取り組みが広がっていることがうかがえます。
これに対して、パソコンなどを使って自宅などで業務を行う「テレワークの活用」は21.9%、「朝型勤務」は20.7%にとどまり、導入が進んでいないことがわかりました。

長時間労働是正策 「ノー残業デー」が最多 経団連 NHKニュース 2016/10/2

 最多はノー残業デーの徹底であり、事前申告もほぼ同率という結果でした。
 しかし、ノー残業デーを行っても、直接的に仕事が減るわけではなく、事実形骸化したり、別の日の業務が増えるだけという事が珍しくありません。また、上司の申告を行ったところで、残業の目的が残業代であることや、残業を肯定する企業風土がある場合には効果的ではあるかもしれませんが、業務量が多ければこれも意味が成しません(むしろ、申請の仕事が増える)。
 そもそも、エンジャパンの調査によると、残業が発生する原因は、トップが「仕事量が多いから」であり、「取引先の要望にこたえる為(納期など)」「時季的な業務があるから」が続くなど、業務量が直接的な原因になってるものが続きます(参考:エンジャパン 時間外労働(残業)について アンケート結果)。経団連のアンケートにも、「業務の効率化」という項目があり、約半数の企業はその対策を行っているとあります。しかし、これはあくまで抽象的な項目であり、その具体的な対策となる「テレワークの活用」などは2割程度となり、決して多くはありません。このアンケートを見る限りでは、業務量そのものをどうにかする対策について、まだまだ不徹底な印象を受けます。
 人手不足の改善や業務そのものの見直しはもちろんの事、従来の9時5時勤務の見直しや、理由なしに同じ作業所で仕事をさせる勤務方法の見直し、不必要な報告書、文書の削除など、業務の効率化や柔軟化を図らない限り、長時間勤務の是正は難しいでしょう。企業側には古い習慣にしがみつかず、こういう柔軟性を取り入れて欲しいものと強く願います。

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