経団連の発表のまま進めた場合、同一労働同一賃金は実現しないだろう

 同一労働同一賃金の実現に対し、経団連はそれを進めるべきではあるが、元来の法律の考え方や、雇用の考え方を維持するべきとありました。

日本経済団体連合会(経団連、東京都千代田区、榊原定征会長)は7月19日、「同一労働同一賃金」に関して、「現行法(労働契約法、パート法)の基本的な考え方を維持すべき」との考え方を示した。
(中略)
また、6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」における「同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善」の主旨には賛同しつつ、「わが国の賃金制度は多様であり、職務給を前提とする欧州型同一労働同一賃金の導入は困難」とし、同一労働等の判断基準を職務内容のみならず様々な要素を含めて判断する現行法の考え方を維持し、あくまでも、自社(それぞれの雇用事業主)で同一労働と評価される場合に同じ賃金を支払うことを基本とする「日本型同一労働同一賃金」を目指すべきとした。

「同一労働同一賃金は現行法の基本的な考え方を維持すべき」 ~経団連発表~ 人材ビジネス 2016/8/23

 法律についての考え方という発言については、解釈が難しいので評価についてはノーコメントとします(法が定められたきっかけの事なのか、他の意図があるのか)。
 ただ、欧米型の職務、職種によって賃金を決めるやり方(職種型ジョブ型)ではなく、日本型の自社の雇用主等の評価によって決めるやり方(メンバーシップ型)を維持しながらそれを目指すとあります。ただ、そうなると、客観的な評価基準が存在し辛くなり、雇用主の裁量でどうにでもなってしまいます
 そもそも、職種型ジョブ型で同一賃金同一労働が実現し得たのは、客観的な評価基準が簡単に存在し得るからです。営業職の仕事であれば、営業職のみを行いますし、技術職であれば、同種の技術職のみを行うため、営業職から技術職へ会社の裁量で異動するということはあり得ませんし、業務を行う事もあり得ません。その為、技術職の人間には○○円、営業職の人間には◎◎円という基準を以って、実現できます。
 一方で、メンバーシップ型であれば、営業職の人間が技術職になる事もあり得ますし、知識のない技術についての業務を会社命令でやらされる事もしばしば起こります。そうなると当然職種によって賃金を定めても意味は為さず、基準が難しいので経営者等の主観の入った裁量となります。つまり、メンバーシップ型では、基準が作りにくいせいで同一労働同一賃金実現は経営者次第となってしまいます。
 ジョブ型を前提とせずにこれを解決する方法があれば良いのでしょうが、筆者の拙い考えではそれは思いつかず、調べても納得いく解決法が見つからなかったため、筆者はメンバーシップ型のままでは実現は不可能であると考えます。

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