いつまで時代錯誤な研修を続けるのか

 今回、タイトルを煽り気味に書きましたが、記事の中身までそうであるとは限りません。悪しからず。
 閑話休題。度々見かけますが、今回もパワハラとみなしても問題ない研修が話題になっているようです。

朝の情報番組「あさチャン」(TBS系)が4月5日、企業の新人研修の取り組みを紹介。最近は新人研修を専門の会社に依頼するケース増えている」と説明した上で、株式会社心の代表取締役社長・足立裕志氏が請け負った12社合同の新人研修の様子を伝えた。

足立氏は研修初日、入社した会社の社長の名前や理念などを問う「会社テスト」なるものを実施。ほとんどの新入社員が回答できなかったことがわかると、「会社のことわかりません、社長わかりません、結構いたぞ。社長がわからないって。大丈夫か君ら。代表者、誰かわからないんでしょ。皆さんの会社は、一言で言ったら採用ミス」と新入社員たちを叱責。そのあまりの厳しさに、泣き出してしまった女性社員の様子も放映された。

足立氏は「本気で仕事しないというのはすごく残念に思っている企業さんが多いので、本気で仕事をする、そして世の中に貢献していくことを学んでいただきたい。彼らの常識じゃ立ち向かっていけないような何かにチャレンジしていただくことが必要」と同番組内でコメントした。 
「皆さんの会社は採用ミス」新入社員に厳しい叱責、過酷な研修に波紋広がる
 

 そもそも、最初の発言が、厚生労働省のワーキンググループがまとめたパワハラ6類型の一つ「精神的な攻撃」に当たる可能性が極めて高いわけで、これを報道する側も驚く程に無神経だなというのが率直な感想です。
 まあ、この地点で大問題なわけですが、後半の「本気で仕事をして、常識じゃ立ち向かっていけない何かにチャレンジしろ」という発言も、何をムシのよい事を言ってるんだという感想しか持ち得ません。そんな感じの「心頭を滅却すれば火もまた涼し」精神で戦争にボロ負けした、我が国特有のダメな精神論そのものです。
 当たり前ですが、人が熱心に取り組むのは、それに見合う対価があるか、それが期待できるからに他なりません。昔の会社員が努力しているように見えたのは(これも眉唾ではありますが…)、経済も給料も右肩上がりの時代、努力して出世すれば給料がさらに上がるという対価が期待できたからに他なりません。しかし、経済的な余裕がなくなり、リストラや大企業の倒産、残業代のない過重労働すら珍しくなくなってきた昨今、努力しても会社の都合で職を失ったり、過重労働で体を壊し、何年も働けなくなったりしている例が山ほど出てきており、そんな状況下において本気で仕事をするのがバカらしいと考えるのも無理はないでしょう。(段々青木雄二が常に行っていた唯物論、観念論的な話になってきたような…。そして最後のところに貼る)
 勿論、社会経済の発展という意味では、新しいことにチャレンジをして、価値を生み出す必要はあります。しかし、それに必要なのは、精神論ではなく、対価としての金銭や、仕事や生活を持続できる十分なゆとりではないでしょうか。大きな発見が、余暇の中のひらめきであるという事例は山ほどあるので。

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