長時間労働ばかりな飲食業の離職率が高いのは当然

DIMEの<飲食店の正社員、6割が「勤続3年以下」>という記事をみて思ったことを。

まず、アルバイト・パートの平均的な勤続期間について質問したところ、「1年」という回答が最も多く42.0%となった。次に多かったのが「2年」で29.0%となっており、勤続年数1~2年が70%以上のボリュームゾーンとなっていることがわかった。(中略)

「3年」以下の割合を合計すると60%近くにものぼっており、正社員の過半数が3年以内に退職するという状況は決して安定しているとは言いにくい。
飲食店の正社員、6割が「勤続3年以下」(2016.02.29)

 

この記事では、離職原因の調査はありません。しかし、飲食店に勤めている知り合い等と話すと、決まって「休憩時間に充分休めない」「拘束時間が長い」「シフト制で休みたい日に休めない」と、過酷な現状を話してきます。匿名掲示板等を覗いても、飲食業は長時間労働があたりまえのようです。そもそも、ワタミ( 産経新聞 2013年7月26日の記事)やすかいらーく(産経新聞 2013年7月24日の記事)、日本海庄や(My news japan 2010年7月12日の記事)、ステーキのくいしんぼ(Business Journal 2013年6月14日の記事)等、有名な飲食店の過労死ニュースは決して少なくありません。
また、厚生労働省が定める過労死ライン(1月残業100時間以上、6ヶ月連続残業80時間以上)を超える長時間労働なのに、庄やは明らかに足りないみなし残業代を支払ったのみ、くいしんぼに至っては支払ってすらいないという事が記事内でも記されています。ワタミやすかいらーくも、調べると適切な残業代を支払ってはいませんでした。長時間労働を強いる癖に、法律で決められた対価すら支払わないというトンデモが横行しているのです
そもそも、残業時間すら本来は上限時間が有り(過去の拙ブログ記事にも記載あり)、残業代は労働基準法上の管理監督者(≠管理職)でもなければ全額支払うのが原則です。

他にも、暴力(物理的なものだけではなく、暴言も含む)を平気で行う人間が珍しくない事も離職率が原因としてあるでしょう。前記のくいしんぼやすかいらーく、しゃぶしゃぶ温野菜(ライブドアニュース 2015年9月14日の記事)でもその実態は明らかになっています。なお、筆者も短期間某有名居酒屋の本社で派遣として働いていた事があるのですが、取締役クラスの人間が平気で部下を「そうじゃねえだろこのバカ!」とフロア全体に響く声で怒鳴りつけ(この地点でパワハラとなります、また、侮辱罪となる可能性もあり)殴っていた光景を何度も見てきました。
勿論、暴力や暴言はパワハラである以前に犯罪行為であり、法治国家である以上許される行為ではありません。本来なら、刑事告訴してもよいものです。

しかし、業界全体で当たり前に行われていると、ビートたけしの「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とでも云うのでしょうか、当たり前の法律すら形骸化されてしまい、放置されてしまうのが実情のようです。そして、法順守している側が一方的に損をして、業界の悪徳な企業ばかりが勝ち残ってしまい、「業界全体のブラック企業化」が完成。そうなった結果、労働者側が働けば働くだけ損をするはめになり、長く続けるのは困難になります。

さて、最初のリンク先の記事を見ていると、飲食店が行っている対策についての質問とグラフがあります。

従業員に勤続してもらうために実施していることを質問したところ、最も多かったのが「適切な昇給・ボーナス」で43.8%の店舗が実施していた。また、「適切な昇進・キャリアアップ」も37%と高い割合で実施されており、適切な評価とそれに見合った待遇を与えることが、従業員の定着率を上げるのに最も重要なことのひとつと考えられているようだ。さらに、「休日数の確保」も39.7%となっており、長時間勤務も多い飲食業界ということもあり、労働環境の整備が従業員の定着に繋がると考えている店舗が多いようだ。

 

 

アンケートは上記のとおり、昇給や昇進が上位となっており、「休日数の確保」も4割程度あります。ただし、「長時間労働防止対策」や「労働法の順守」は、インタビューの仕方が多岐選択式のみだった可能性もありますが、存在していません。「休日数の確保」は、長時間労働対策にはなり得るのでしょうが、一日の労働時間が長ければ無効化されます。実際、稼働日が過酷すぎると休日は寝るだけになってしまうという人は非常に多いです。厳しい見方ですが、飲食業業界は、時には過労死するような過酷な環境そのものを本気で変える気はないのでしょう。

現状は、残念ながら「長時間労働ばかりな飲食業の離職率が高いのは当然」というタイトルは説得力をもってしまいます。

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