労働面から2021年衆院選公約を見る~立憲民主党~

衆議院選前ということで、各党の政策のうち、労働面に関連したものを見ていきます。
なお、特定の党を応援することが目的ではありませんので、悪しからず。

今日は立憲民主党の選挙公約(令和3年政策BANK)


医療・介護事業者に包括的な支援金を支給し、医療・介護従事者には、慰労金の支給(新型コロナの患者に対応した従事者に20万円)など待遇改善を進めます。
医療や介護への財政支出抑制方針を転換します。公立・公的病院の統廃合や病床削減を進める「地域医療構想」などを抜本的に見直します。職員の増員などにより、保健所機能を強化します。

コロナ関連の医療介護従事者への支給や、職員増員について。従事者に20万との記載あり。


3 雇用の安定と賃金の底上げ
「同一価値労働同一賃金」の法制化を目指します。
時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
「職業訓練・訓練中の生活保障・マッチング」をパッケージ化した雇用の総合的セーフティネットを創設します。
雇用は、「無期・直接・フルタイム」を基本原則とします。派遣法の見直しなどで、原則として、希望すれば正規雇用で働ける社会を取り戻します。
雇用類似就業者の命と健康を守るため、労働者と同様に必要な労働関係法などを適用できるようにします。

「同一価値労働同一賃金」の法制化、1500円を目標に最賃を上げる事、雇用のセーフティネット、「無期、直接、フルタイム」原則化、雇用類似就業者の事について記載あり。雇用のセーフティネットやフルタイムについて、具体的な法や制度整備の話は無し。

政策集においては、


○コロナ禍の影響で家計が苦しい世帯に対する即効性のある支援として、個人の年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税と、低所得者への年額12万円の現金給付を行います。
○コロナ禍が収束した時点を見据え、税率5%への時限的な消費税減税を目指します。
○時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
[労働法制・取引適正化]
○非正規雇用の正規化、同一価値労働同一賃金の実現、残業代支払い厳格化、フリーランス・みなし個人事業主やギグワーカーなどの保護を行います。
○派遣業のあり方について見直します。
○就職氷河期世代の就労支援を行います。
○現行の「外国人技能実習制度」や「外国人留学生の資格外就労制度」等を抜本的に見直し、新たな外国人雇用/労働の許認可制度を創設します。
○価格転嫁・下請取引の適正化に向けて監視を強化します。
○学び直し(リカレント教育)や多様な職業訓練プログラムを推進します。
○産休・育休、有給休暇の取得促進など働きやすい労働環境を整備します。

とあり。項目は多いが、賃金以外具体的な記載は無し。

ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・自治体職員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。

こちらにも正規雇用化を進めるとあり。増員等についての記載は無し。


LGBT平等法を制定します。
DV対策や性暴力被害者支援など、困難を抱える女性への支援を充実させます。
各議会でのパリテ(男女同数)を目指します。

間接的に雇用、労働にも関連しそうではあるが、具体的な記載は無し。
ジェンダーについては、政策集では、


○男女ともワーク・ライフ・バランスの実現が可能な職場・地域・社会の環境整備を目指します。
○女性の正規雇用化、賃金上昇に向けて取り組みます。(再掲)
○女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)の実効性を高めるため、男女の賃金格差と女性労働者の非正規比率等について、企業等が把握し目標を設定することを義務付ける法改正を行います。(再掲)
○ジェンダー平等を実現するため、長時間労働の是正や均等待遇原則の確立など、女性が安心して働き続け、生活と仕事との両立が可能な環境を整えつつ、女性管理職比率の目標値の設定・公表を義務付ける等の具体的な施策を実行します。(再掲)
○妊娠出産の権利と「家族と過ごす時間」を保障するためにも、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を義務付ける「勤務間インターバル規制」を導入します。
○女性の採用や管理職・役員への女性の登用についての具体的な目標を設定するなど、実効性のある計画を策定します。(再掲)
○政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に際しては、「継続就業のための環境整備」にとどまらず、物理的な「職場環境の整備」も進めます。(再掲)
○男女雇用機会均等法を「男女雇用平等法」とするとともに、「男女労働者の仕事と生活の調和を図る」ことを目指します。(再掲)
○日本が未批准のILO第183号条約(改正母性保護条約)の批准を求め、雇用形態に関係なくすべての女性労働者に対する母性保護と母性を理由とした差別の禁止が法令で担保されるよう改革していきます。(再掲)
○在宅就労を可能とするテレワークの普及、教育訓練給付制度を活用したスキル習得機会の拡大などにより女性の社会参加を促進します。(再掲)
○就業継続のための取り組みを前提として、妊娠、出産、育児により退職した女性の再就職支援策を進めます。(再掲)
○母性保護、授乳権の確保の観点からも、妊娠・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援を拡充します。(再掲)
○結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。(再掲)
○フリーランス、農山漁村や自営業の女性の産休・育休相当期間中の所得保障、社会保険料免除など経済的、社会的自立のために実態把握・調査研究を実施し、法整備を検討します。(再掲)
○女性の平均賃金水準は男性の約7割にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。また、同じ価値の仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。こうした処遇の改善を目指し、まずは立憲民主党が提出した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律」(同一価値労働同一賃金関係)を制定します。法律には、合理的と認められない待遇の相違を禁止すること、事業主の説明義務の対象に合理的と認められない待遇の禁止等に反するものではないと判断した理由等を追加すること、待遇格差の是正は正規雇用の待遇を低下させるのではなく、非正規雇用の待遇の改善によって行われるようにすること等を盛り込み、現行の同一労働同一賃金の法制度の不備を改めます。(再掲)
○その上で、ILO第100号条約の遵守徹底を図るため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価方法の調査研究等を進め、同一事業主の下だけでなく、産業間・地域間・企業規模間においても同じ価値の仕事をすれば同等の賃金が支払われることを確保し、処遇格差の是正が図られるよう、「同一価値労働同一賃金(均等待遇)」の法定化を目指します。(再掲)
○公務員についても民間企業同様、ジェンダー平等の推進、常勤・非常勤をと問わない同一価値労働同一賃金、長時間労働の是正を促進します。国・自治体が率先して非正規雇用問題に対応するため、公務部門での非常勤雇用問題や官製ワーキングプア問題の解決を目指します。
○セクハラ、マタハラ、パワハラ、パタハラ(パタニティ・ハラスメント:育児のために休暇や時短勤務を希望する男性に対する嫌がらせ)などあらゆるハラスメントを禁止するとともに、防止のための職場環境を整備します。
○あらゆる形態のハラスメントを禁止する法制の整備を目指し、すべての労働者を保護し、被害者を救済する制度を整えます。
○「セクハラ禁止法」を制定し、フリーランス、就活中も含めセクハラ禁止を明記します。
○セクハラを行った社員などに対して処分を課す、被害者に対して支援情報を提供するなど、会社が社員などのセクハラに厳正対処することを義務付けます。
○国、自治体は、セクハラ禁止の対象となる言動の具体的内容等を定めた指針を作成し、相談体制を整備、人材を育成します。
○「パワハラ規制法案」を成立させ、企業や政府の役割を明確にします。
○研究現場でのアカデミックハラスメントやセクシュアルハラスメント対策を推進し、意識、慣行の見直しを促進します。
○女性の身だしなみやマナーを理由に就職活動や職場でヒール靴の着用を強制する社会慣行を改めるよう、呼びかけていきます

と、割と具体的に書いています。ヒールの強制を改めるような、#Kutooに関連したものも。

以下、政策集の厚生労働の働き方について。


総論]
○1990年代以降、雇用の非正規化、不安定化、低賃金化を招いてきた労働者保護ルールの緩和政策を抜本的に見直します。
○女性や若年層の正規雇用化、賃金上昇に向けて取り組みます。
○「労働基本法」(仮称)をつくり、働くことの価値と重要性を再確認するとともに、雇用については「無期、直接、フルタイム」という3要素を基本原則に位置付けて、雇用の本来あるべき姿を取り戻していきます。望めば正社員として働ける社会を目指します。
○未批准のILO中核条約(第105号強制労働廃止、第111号差別撤廃)の早期批准を目指すとともに、ILOからの勧告等を尊重し、批准済みのILO条約の遵守徹底を図り、ディーセント・ワーク(ILOが提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」という考え方)の実現に努力します。あわせて、強制労働や児童労働などによって生産された製品等の輸入・取引をしないようにする取り組みを推進します。○誰もが安心して働き、安心して年齢と経験を重ねていけるよう、雇用形態に関係なく、会社等で働いていれば原則として社会保険の適用を受けられるようにします。
○社会に出る若者が自らの権利等を守る力を養えるよう、「ワークルール教育推進法」を制定します。その中で、社会に出てからの継続的な知識の習得や、使用者のワークルール教育についても行い、健全な労使関係の醸成にも寄与します。
○雇用や労働に関わる全ての政策について、「三者構成原則」を徹底し、政府、労働者代表、使用者代表が対等な立場で協議して決定し、お互いに尊重して実行することを徹底します。
○過半数労働組合が存在しない事業場では、従業員代表が対象労働者による民主的な手続きで選出され、代表制が確保されるよう、現行制度の徹底と監督の強化を図りつつ、労使団体と協議の上、「従業員代表制法案」(仮称)を検討します。
○政府が実現を目指している「解雇の金銭解決制度」の導入については、現状ではかえって経営者による解雇権の乱用を助長しかねないことから、認めません。不当な解雇が多発している現状に対して、紛争解決や救済制度の拡充による労働者保護の強化を図ります。
○地域や職務を限定する「限定正社員」の名を借りて、正社員を解雇しやすくしたり賃金引き下げなどを狙う見かけ正社員づくりなどの労働規制緩和は認めません。
○医師、看護師、保育士、介護職員の有料職業紹介を原則禁止し、例外的に認める場合も手数料に上限を設けます。
○雇用形態の多様化により、フリーランスやフリーシフト制、個人請負や一人親方、副業・兼業、ギグワーカーなど、同じ働く者でありながら、労働法令等による保護から除外されてしまう働き方(働かせ方)が拡大している中で、労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者全ての命と健康と暮らしが守られる環境や法制度を整備します。
○毎月勤労統計調査の不正により、この調査をもとに算定する雇用保険、労災保険、船員保険、事業主向け助成金について、多くの人の給付が支払い不足となっていました。一人でも多くの方の被害が回復されるよう、あらゆる手段を尽くすことを政府に求めていきます。
[長時間労働の是正]
○一人一人のライフスタイルと希望に応じた働き方を選択できる「ワーク・ライフ・バランス社会」を実現します。
○法定労働時間である「1日8時間、週40時間」働けば、安心して普通の暮らしができる労働環境の整備を目指します。
○夜勤を含む深夜労働や連続長時間勤務などの問題に対応するため、健康への影響を含めた包括的な研究調査を実施し、具体的な規制対策を講じます。
○すべての労働者が、生活上・健康上必要な休暇・休業(有給休暇、出産休暇・育児休業、病気休暇・介護休業など)を必要な時に取得できる環境を整備します。
○「人間らしい質の高い働き方を実現するための働き方改革」を実現し、過労死ゼロ社会の実現を目指します。過労死等防止対策推進法に基づいた施策を一層、着実に実行します。
○事業場外の労働や在宅勤務などでの労働時間の使用者による適正な把握と管理を徹底し、総実労働時間の削減を図るとともに、労働災害が発生した場合等の労働時間認定を容易にし、労災認定が迅速に行われるようにします。
○「ブラック企業ゼロ」を目指して、ブラック企業やブラックバイト対策を徹底します。
○長時間労働を抜本的に改善し、過労死や過重労働を断固根絶するために、残業時間を含む総実労働時間の上限規制の遵守徹底を図り、時間外労働の上限時間のさらなる規制を検討していきます。
○労働法令遵守の徹底や質の高い雇用の維持・確保、労働条件の向上や福利厚生の拡充に努める経営者を支援します。
○毎日の睡眠時間と生活時間を確保するため、勤務間インターバル(休息)規制を義務化(原則11時間以上)して、「過労死ゼロ」社会を実現します。
○裁量労働制については、制度の乱用・悪用による健康被害などが生じているとともに、長時間労働の温床となっていることから、なし崩しの適用拡大は認めません。健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、それを上限規制の範囲内とすることを制度導入の要件とするといった規制強化によって制度の適正化を図ります。
○違法残業など法令違反に対する罰則を強化します。
○労働基準法の違反に当たる不払い残業(サービス残業)の実態の把握などを進め、すべての職場から不払い残業をなくしていきます。
○1週間に1日は必ず休日をとることを法定化し、違反への罰則を設けます。
○労働時間の把握・記録・保存・管理の徹底により、残業代の完全な支払いを確保するとともに、事業所の労働組合や労働者に対し前年度の月平均所定外労働時間の実績や前年度の有給休暇の平均取得日数を公開すること等により、労働時間の削減、有給休暇の取得率向上等に向けた労使の話し合いを促進し、総実労働時間の削減につなげます。
○個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成すること等によって労働時間の適正な把握と管理を徹底するとともに、本人等の要請で情報開示することを義務付けます。
○教職員の健康と安心を確保するため、産業医の確保を実現します。
○社会正義の確立を通じた恒久平和の実現というILOの基本理念に立ち、三者構成主義と国際労働基準、およびディーセント・ワークの国内外でのさらなる推進を目指します。
○企業および事業所ごとの働き方情報(3年離職率、残業時間、有休・育休・産休の取得率、過労死・労災死の有無など)の開示義務の対象の拡大を目指します。青少年雇用促進法による新卒求職者への企業情報開示についても、対象情報を拡充します。
○固定残業制(みなし残業)については、基本給と残業代(所定外賃金)の明示を法律で義務化します。
○医療や介護分野などでの夜勤・宿直・連続勤務問題や、労働時間規制の適用が除外されている業務等(管理・監督者、農業・漁業従事者、研究開発業務など)や時間外労働の法的上限規制の適用が5年間猶予された業務等(建設業、自動車運転手、医師など)については、規制の適用・強化に向けた見直しを図ります。また、深夜勤務が健康等に与える影響についての研究・調査を進めます。
○政府の「働き方改革関連一括法」では、法施行5年後に適用される自動車運転業務の時間外労働の上限が年960時間と長いため、一般則である年720時間とします。
○結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。
○生活と仕事とを両立するために必要な有給休暇や出産・育児休業など、各種休業・休暇制度を希望通り取得できるよう、法を整備し、企業文化改革を促します。男女共同参画社会実現のため、男性の育児休業取得を促進します。
○労働基準監督官や需給調整指導官等の増強を含む抜本的な労働法令遵守の徹底・強化策を実行するとともに、求人情報開示のさらなる適正化と違反企業等に対する罰則の強化を図ります。
○「働き方改革関連一括法」によって創設された高度プロフェッショナル制度は廃止します。
[同一価値労働同一賃金]
○女性の平均賃金水準は男性の約7割にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。また、同じ価値の仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。こうした処遇の改善を目指し、まずは立憲民主党が提出した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律」(同一価値労働同一賃金関係)を制定します。法律には、合理的と認められない待遇の相違を禁止すること、事業主の説明義務の対象に合理的と認められない待遇の禁止等に反するものではないと判断した理由等を追加すること、待遇格差の是正は正規雇用の待遇を低下させるのではなく、非正規雇用の待遇の改善によって行われるようにすること等を盛り込み、現行の同一労働同一賃金の法制度の不備を改めます。
○その上で、ILO第100号条約の遵守徹底を図るため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価方法の調査研究等を進め、同一事業主の下だけでなく、産業間・地域間・企業規模間においても同じ価値の仕事をすれば同等の賃金が支払われることを確保し、処遇格差の是正が図られるよう、「同一価値労働同一賃金(均等待遇)」の法定化を目指します。
[最低賃金]
○時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
[ハラスメント対策]
○「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」(ILO第190号条約)の批准を目指します。
○セクハラ、マタハラ、パワハラ、いじめなど職場でのあらゆる形態のハラスメントを禁止する法制の整備を目指し、防止対策の強化を図ります。すべての働く人を保護し、被害者を救済する制度を整えます。
○「セクハラ禁止法」を制定し、フリーランス、就活中も含めセクハラ禁止を明記します。(再掲)
○セクハラを行った社員などに対して処分を課す、被害者に対して支援情報を提供するなど、会社が社員などのセクハラに厳正対処することを義務付けます。(再掲)
○国、自治体は、セクハラ禁止の対象となる言動の具体的内容等を定めた指針を作成し、相談体制を整備、人材を育成します。(再掲)
○会社間のセクハラ・マタハラ対策を強化するため、事業主に対する義務を新設する法律を制定します。具体的には、①被害側の事業主は、加害側の事業主にセクハラを行わないよう求める、または厚労大臣に是正を図るよう求める、②加害側の事業主は、加害者(社員)に対し、セクハラを行わないようにするための必要な措置をとる(加害側企業の事業主は、被害側企業に対して不利益な取り扱いをしてはいけない)こととします。
○取引先などの他の会社の労働者からのパワハラ、下請け会社などの他の会社の労働者へのパワハラに対して、労働者の安全・健康を守る観点から必要な予防・保護のための措置を講ずることを事業者に義務付ける法律を制定します。
○コールセンターなど消費者対応業務に関係する「カスハラ」に対応するようにします。
[非正規雇用対策]
○「無期の直接雇用」を雇用の基本原則として確立し、雇用に安定と安心を取り戻します。
○非正規雇用については、臨時的・一時的なものであるべきことを明確化し、入り口規制(雇い入れ要件)の導入と出口規制(更新期間や回数要件など)の改善を図るとともに、社会保険の適用や差別禁止の徹底により安心を確保します。
○パートタイム労働者や有期契約労働者、派遣労働者などいわゆる非正規労働者の均等処遇を確保し、正規、非正規を問わず働く意欲を持つすべての人に対する能力開発の機会を確保するとともに、正規労働への転換を推進します。
○正規雇用の採用や増員、非正規雇用の正規雇用への転換、および社会保険の適用拡大など、雇用の質的・量的充実に取り組む中小企業経営者への支援策を強化します。
○非正規労働から正規労働への転換を積極的に進める企業に対する社会保険料の軽減措置など、支援措置の拡充を行います。
○ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・自治体職員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。(再掲)
○労働者派遣法については、真に労働者にメリットがある制度となるよう、対象を真に専門性のある職種等に限定することも含め、抜本的な見直しを断行します。
○誰もが安心して働き、年齢と経験を重ねていけるよう、社会保険(被用者保険)の適用を拡大するとともに、中小零細企業の労使への支援策を講じます。
○有期契約労働者に対する育児・介護休業の適用要件をさらに拡大し、事業主・労働者双方への周知徹底その他積極的な取得促進策を講じます。
○正規労働者はもとより、非正規労働者の育児休業取得・復職が容易となるよう、復職支援を事業者支援とともに進めます。さらに企業が就業規則に非正規労働者でも育児休業が取れることを盛り込むように都道府県労働局からの働きかけを強化します。
[フリーランス支援]
○社会保険料負担逃れなどの目的で個人請負やフリーランス契約などを乱用・悪用する行為を規制するとともに、兼業・副業などについても労働法令による保護を確保します。
○個人請負やフリーランスがさらに幅広く労災保険の特別加入制度の対象となるよう検討します。
○フリーランス、農山漁村や自営業の女性の産休・育休相当期間中の所得保障、社会保険料免除など経済的、社会的自立のために実態把握・調査研究を実施し、法整備を検討します。(再掲)
[フランチャイズ問題]
○名ばかり店長など雇用契約の乱用・悪用行為の規制を強化するとともに、フランチャイズなどを含め、労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者すべての命と健康と暮らしが守られる環境を整備します。
[労災ゼロ]
○労働災害による死傷者は年間約13万人にのぼっています。労災ゼロを目指し、労働安全衛生法等の見直しを行います。
○軽度外傷性脳損傷の労災認定が適正に行われるよう、診断方法の研究を踏まえ、認定要件の見直し等を行います。
○労働安全衛生法、安全衛生規則を改正し、建設現場での墜落死・転落死ゼロを目指します。
[雇用の創出・雇用の確保]
○新規の正規労働者に係る社会保険料の事業主負担を軽減する「中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律」を制定します。
○成長分野で新規雇用を増やし、希望する人が成長分野への新規就労や転職を実現できるよう、個人や企業の取り組みを支援します。経済政策の最大の目的が質の伴った雇用の維持・拡大であることを明確に位置付け、グリーン(環境・エネルギー分野)、ライフ(健康・医療・介護分野)などの成長分野での産業育成を進めます。
○自ら起業したり、農林漁業やものづくりなどの専門職への道を希望する若者を応援する制度を強化します。
○「職業訓練・訓練中の生活保障・マッチング」をパッケージ化した雇用の総合的セーフティネットを創設します。
○職業訓練や社会的セーフティネットなどを強化して、成長分野への移動を希望する人材の円滑な移動を支援します。科学者、芸術家、起業家など、クリエイティブ人材の育成と集積を進めます。イノベーションや人材開発に必要な海外からの高度人材の受け入れは、労使との協議に基づき計画的に認めていきます。
○雇用を守るため、雇用調整助成金を維持します。他方、「失業なき労働移動」を推進するための「労働移動支援助成金」については、成長産業への移動を希望する労働者への支援策に改めます。
[就職氷河期世代への支援]
○就職氷河期時代に学校を卒業し、不本意ながら非正規雇用で社会人としてのスタートを切り、その後も正規雇用への道が閉ざされている世代に各種の積極的労働市場施策により、正規雇用・無期転換の促進を図ります。
[高齢者の雇用]
○年を重ねても就労を希望するすべての国民が就労可能な環境を整備し、年金と雇用との接続を確保します。
○働き続けたいシニア世代が働き続けられるよう、高年齢者雇用安定法の徹底等により、定年の引き上げや継続雇用制度の導入に加え、高齢者の積極採用などを企業に促す取り組みを着実に実行します。再雇用後の労働条件については、労働契約法20条の規定にのっとり、不合理な差別待遇とならないよう周知と指導を強化します。
[女性の雇用]
○女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)の実効性を高めるため、男女の賃金格差と女性労働者の非正規比率等について、企業等が把握し目標を設定することを義務付ける法改正を行います。
○ジェンダー平等を実現するため、長時間労働の是正や均等待遇原則の確立など、女性が安心して働き続け、生活と仕事との両立が可能な環境を整えつつ、女性管理職比率の目標値の設定・公表を義務付ける等の具体的な施策を実行します。
○女性の採用や管理職・役員への女性の登用についての具体的な目標を設定するなど、実効性のある計画を策定します。
○政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に際しては、「継続就業のための環境整備」にとどまらず、物理的な「職場環境の整備」も進めます。
○男女雇用機会均等法を「男女雇用平等法」とするとともに、「男女労働者の仕事と生活の調和を図る」ことを目指します。
○日本が未批准のILO第183号条約(改正母性保護条約)の批准を求め、雇用形態に関係なくすべての女性労働者に対する母性保護と母性を理由とした差別の禁止が法令で担保されるよう改革していきます。
○在宅就労を可能とするテレワークの普及、教育訓練給付制度を活用したスキル習得機会の拡大などにより女性の社会参加を促進します。
○就業継続のための取り組みを前提として、妊娠、出産、育児により退職した女性の再就職支援策を進めます。
○母性保護、授乳権の確保の観点からも、妊娠・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援を拡充します。
○結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。(再掲)
○フリーランス、農山漁村や自営業の女性の産休・育休相当期間中の所得保障、社会保険料免除など経済的、社会的自立のために実態把握・調査研究を実施し、法整備を検討します。
[人材の育成、就労支援]
○情報・通信技術やAIの活用、ロボット等の導入により、仕事と私生活の境界が曖昧になったり、職場での「人間」の役割が大きく変わったりすることが想定されるため、こうした変化の中でも、ゆとりのある働き方ができるよう働き方のルールを見直すとともに、職場環境の変化に対応した人材を育成するため、学校教育や職業訓練の見直しを進めます。
○グローバル人材と高度技能人材の育成のため、まず人的資源の裾野を広げることに注力し、その上で、産官学の連携による体制の強化を図ります。
○若者が自立できるように就労支援を拡充し、未来を担う人材を育てます。若者が夢と希望をもって働ける社会を実現するため、新卒世代を中心に、学校での職業教育やカウンセラーによる進路指導、ハローワークでの職業相談など就労支援をさらに拡充し、若年者雇用を促進します。
○高校、大学等での職業教育・訓練やキャリア教育を大幅に拡充するため、企業に協力を求め、その企業規模に応じて職業教育・職業訓練やインターンなど生徒・学生の受け入れを行い、さまざまな仕事を実際に体験する制度を展開します。
○公的職業訓練の求職者支援制度について、新卒者も含め、制度を周知徹底し、ニーズをより重視したカリキュラムの再編など抜本的な拡充を行います。特に企業の協力を得て職場実習を重視するように見直します。さらに訓練期間の大幅延長を図ることで多様な資格取得の支援も可能とし、確実な就労につなげます。
○急増した非正規雇用、女性、高齢者をはじめ再チャレンジ希望者に多様な学び直し(リカレント教育制度)の機会を創出提供し、複線型のキャリアパスの形成を支えていくことを可能にするため、教育機関が社会人の学び直しに対応した入学・履修制度、カリキュラム、人員体制を整備しつつ、「教育訓練給付制度」の拡充を図るなど、「学び直し」の最大の課題である経済的負担の軽減を図ります。
○大学と企業との連携による再教育機会の推進や通信教育・放送大学の拡充などを進めます。社会人のキャリアアップ促進のための対策を大学・企業等に求めます。同時に大学等高等教育機関での社会人特別選抜枠の拡大等の編入制度の弾力化、夜間大学院の拡充、科目等履修制度・研究生制度の活用、通信教育の拡充を進め、社会人の受け入れを促進します。
○高齢者を中心に再犯率が高く、刑務所が福祉施設の代替となっている現状があります。特に高齢者や障がい者等の受刑者については、その特性に応じて刑務所出所後の就労支援など再犯防止を法務省のみならず厚生労働省との共通事業として取り組みます。
[労働者協同組合]
○労働者協同組合法が円滑に施行され、労働者協同組合が広範に活用されるよう、国が積極的に広報活動を行うとともに、予算措置のあり方を検討した上で、プラットフォームづくりをはじめとした地域的取り組みを支援します。
○少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。
○ベーシック・サービスを支える人材を確保するため、ベーシック・サービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。ベーシック・サービスの従事者の処遇改善は、結果として地域経済に潤いをもたらし、個々人の消費を拡大させることで内需を充実させるものでもあります。
○ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・自治体職員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。(再掲)
○誰もが必要な医療や介護、子育て支援などのサービスを、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化します。
○公正な配分により格差を解消し、一人一人が幸福を実感できる社会を確立するため、社会保障などのモノサシを変えます。①社会保障の効果を測るモノサシは、格差是正とQOLを重視します。②豊かさを計るモノサシは、GDPからGPI(真の進歩指標)へ変更します。③税制を評価するモノサシは再分配を重視します。④将来経済推計のモノサシは、過大になる政府試算から国会に設置する機関による試算へ変更します。⑤官僚を評価するモノサシは、国民のための仕事を評価するようにします。
○社会保険料については、負担と給付の関係性を重視しつつ、低所得者への保険料軽減措置などを拡充します。
○社会保険料の月額上限を見直し、富裕層に応分の負担を求めます。
○医療・健康・福祉のスマート化(いつでも・どこでも健康状態を確認できるオーダーメイドの健康管理システム等)を推進します。
○社会保障の充実・安定化を図り、将来世代に過度な借金を押しつけないことが基本です。その改革を進めるに当たって、議員定数の削減・行政改革の断行、消費税の使途の社会保障・子育て支援への限定、家計支援対策を行います。
○世代間公平に配慮しつつ、重点化と効率化によって、子どもから高齢者にわたる、持続可能で安心できる社会保障制度を構築します。
○社会保障制度の充実・安定化により将来不安を軽減します。少子高齢社会に対応し、子育て支援、雇用の安定、老後の安心など、生活の不安を希望に変える「人への投資」により、可処分所得を増やし、消費を活性化します。
○医療や介護への財政支出抑制方針を転換します。
○日本はOECD諸国で唯一、大人が全員働いている世帯(共働き世帯やひとり親世帯など)で所得再分配後にかえって格差が拡大(相対的貧困率が悪化)し、税と社会保障の再分配機能が逆回転しています。その大きな要因となっている社会保険料の逆進性を改善するなど、税と社会保障の仕組みを見直します。その際、「社会保障と税の一体改革」の理念である「全世代対応型社会保障への転換」を重視します。
○医療・介護・障害福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。
○短時間労働者への社会保険の適用拡大を進めます。
○固定的な性別役割分担を前提とした税制や社会保障制度を見直し、世帯単位から個人単位への転換を進めます。

とかなり数多にわたって記載があります。
11時間のインターバル制度や、解雇の金銭解決反対等もありますが、大半は既存の法の順守を徹底させる事や、抽象的な理念を語った感じではあります。とはいえ、悪徳な雇用者を甘やかさず、被雇用者が報われるようになるものが中心となっているようです。

総評としては、以前より労働政策の記載が充実しており、抽象的な表現は多いものの、やる気は感じられます

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