「月80時間を上限とした上限規制」が導入されるというが、現行法にもある

 毎日新聞によると、政府は月80時間を上限とした残業時間の上限規制を導入するとありますが…。

 政府は、長時間労働の是正策として検討している残業時間の上限規制について「月80時間」を軸に調整に入った。1カ月単位だけでなく半年や1年などの期間でも規制を設け、この場合は「月平均45時間」などとする案が出ている。政府の働き方改革実現会議の労使メンバーらの意見も踏まえて今国会か今年の臨時国会に労働基準法改正案を提出し、2019年度からの導入を目指す。
(中略)
忙しさが時期によって異なる業種などに配慮し、複数月での規制も検討。月平均45時間とした場合、6カ月単位なら270時間が上限になる。運輸業などで認められている適用除外も残す方向で、3月末までに最終決定する。

残業「月80時間」上限、政府調整 19年度導入目標 毎日新聞 2017/1/25

 この記事だけだと、今まで残業時間に太子、上限を定める法律が存在しないように勘違いする人が出てくるでしょう。しかし、以前こちらに書いた通り現状でも残業規制はあり、しかもこの法案よりも短い時間が設定されています。また、こちらに書いた通り長時間残業をさせて書類送検させた例も存在します。言ってしまえば、既にある法律で対処できるのに、対処されていないのが現状であり、今までの法律を上塗りする位に強いものでなければ、全くの無意味と云って良いでしょう。
 尤も、これが無意味であるかと考えると、必ずしもそうとは云えないとも考えます。
 その理由としては、一つ目としては、現行法より強力なものになった場合は使えるということが挙げられます。現状、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」が罰則としてありますが、もっと重い罰にしたり、事業停止等も可能になれば、意味は出てくるでしょう。とはいえニュースを読む限りでは、適用除外も残す方向とあり、その期待は裏切られる気もしております。
 二つ目としては、法そのものが直接的に関係するわけではありませんが、このようにニュースになるということで、認知度が上がるという事です。現状においても、経営者や労働者の労働法の理解は十分に進んでおらず、あからさまな法律違反であるサービス残業や保険加入逃れ等が恒常的に行われています。しかし、認知度が上がれば、双方知らなかったという確率は下がるのは間違いありません。

 とはいえ、労働時間は一日八時間上限が世界的には当然であり、このレベルで満足するのではなく、より効果的なカタチになるまで働きかける必要があるでしょう。現在、そんなワークルールを作ろうという署名もあります(下記)。

8時間働いたら帰る、暮らせるワークルールをつくろう。

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