有給休暇取得に理由は不要。当然の権利だから

 有給休暇について、また出鱈目な認識を押し付けるような記事がありました。

体調が悪いときや身内に不幸があったときは、やむを得ず有休を取りますよね。理由がきちんとしていれば問題なさそうですが、中には「社会人としてありえない」理由で有休を取った人もいるようです。どんな理由だったのか、社会人女性のみなさんに聞いてみました!

(1)寝坊したから
(2)二日酔いがヒドいから
(3)やる気が出ないから
(4)彼氏と大ゲンカしたから、振られたから
(5)体が痛いから
(6)天気が悪いから
(小見出しのみ抜粋)
意味わかんない!「社会人としてありえない」有休取得の理由7つ! ファナティック マイナビウォーマン 2017/1/27

 なお、6つしかないのは、元の記事がそうだからであり、他意はありません。
 まず、基本ですが、有給休暇取得に対し、理由を告げる義務はありませんし、理由によって取得させないということは不可能です(但し、例外的にストライキの為に取得した場合は認められません林野庁白石営林署事件解説参照)。
 そもそも、労働基準法第39条5項によると、

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 とあり、使用者が行使できる権利としては、どうしてもその日にその人が必要な場合に、時季変更権という、別の比に有休を取ってもらう事のみです(もっとも、これは曖昧なものなので悪用している企業も少なくありませんが)。
 つまり、その日にその人がどうしても必要であるという場合でなければ、ディズニーランドに行くという理由であろうが、めんどくさいという理由であろうが、寝坊したという理由であろうが、有休は認められなければなりません。この記事も、最後に「有休を取る権利はある」と取ってつけたような結論が書かれてますが、最低限の法律や、権利の意味も理解していないのは明白でしょう。

 以下、蛇足。
 これを書いたファナティック(なお、辞書的には狂信的という意味)というのは、

2011年10月創立の編集プロダクション。マイナビウーマンでは、恋愛やライフスタイル全般の幅広いテーマで、主にアンケートコラム企画を担当、約20名の女性ライターで記事を執筆しています。
ファナティック

 という組織らしいですが、最近増えてきたクラウドソーシングで募集をかけたような、質の低い記事が目立ちます。マイナビも、こういう質の低いコラムを載せるのは、自身の信用問題にも関わってくるような気がしますが…。

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