長期間の籠城ストライキなるものがある

 ストライキといえば、短期間一切の労務を行わないものであるという認識が多いでしょうが、今回は長期間、事業所に籠城するストライキについて。
京都にある、iWAiコーポレーションという会社で、先月9日まで10カ月近い籠城ストライキが行われていました。この会社は、2015年5月、産廃を一般廃棄物に混ぜてクリーンセンターに搬入したとして、岩井教之社長が逮捕され、会社の事業許可も取り消されました。それについて、従業員は、反対意見も聞かずに社長の一存で強行した背景もあり、組合との団体交渉を通じて下記の要求をしていました。


①会社の信用を損ない従業員の雇用を危機に陥れていることへの謝罪
②従業員の雇用確保に全力を尽くす
③今後、全ての問題について労働組合と協議し、合意の上おこなう
④退職金の支給
⑤タイムカードの設置と8時間以上働いた時は残業代を支払う
⑥業務の有無にかかわらず新たな就職先が決まるまで毎月の支給日に、従前と同様の賃金を支払うこと

 団体交渉を通じて、これらの一部については一旦合意をしたにも関わらず、社長側が一方的に反故にした上に団体交渉にも応じない為、長期の籠城ストライキに入ったという事です。

 結果は、京都ユニオンのブログにもある通り、勝利的な解決をしております。なお、この裁判については、社長が不当占拠ということで裁判所に立ち入り禁止の仮処分申請を行っていますが、京都地裁、大阪高裁の双方で却下されており、大阪高裁に至っては「このような状況において、このストライキやむをえないものである」と公言しています。つまり、この類のストライキについて、司法が正当と認めているわけです。
 
 もっとも、このストライキは決して楽なものではなく、組合をやめるよう金銭をちらつかせて脅されたり、自称「社長から依頼を受けた管理会社」から入らせるように要求されたり、侵入してパソコンや資料を強奪されたりしていたようです。また、記事にはありませんが、元来ストライキの間は会社側から賃金が出ず、また、長期間に及ぶものであったため、「闘争資金」があるにしても生活費の捻出にも苦労した事は容易に想像できます。このような違法行為に対し、日本の司法、行政機能がまだまだ整備不十分である証拠でもあるように思えます。
 とはいえ、泣き寝入りする場合よりはずっと良い結果になったのも事実でしょう。リスクが高いのは事実かもしれませんが、いざという時はこの方法を検討してみても良いかもしれません。

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