長時間残業の書類送検をもっと当たり前にしていこう

 三菱電機が、男性社員に違法な長時間残業をさせ、うつ病を発症させたということで、書類送検されたというニュースが入ってきました。

 大手電機メーカー、三菱電機が、うつ病を発症した元社員の男性に違法な長時間労働をさせていたとして、神奈川労働局は、三菱電機と当時の上司を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。
三菱電機の元社員で、神奈川県鎌倉市にある研究所で半導体レーザーの研究をしていた31歳の男性は、うつ病を発症して去年6月に解雇され、労働基準監督署は去年11月、月100時間を超える長時間の残業がうつ病が発症した原因だとして労災認定しています。

この問題で神奈川労働局は、三菱電機が当時入社1年目だった男性に対し、平成26年1月中旬から2月中旬までの1か月間、労働組合との取り決めの上限を超える違法な長時間労働をさせていたとして、三菱電機と当時の上司を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

労働組合との取り決めでは、残業は1か月60時間が上限でしたが、この1か月間は、78時間9分の残業をさせていたということです。

(中略)

元社員の男性は「いちばんきつい時はほとんど休みがなく、160時間の残業もありましたが、会社には残業時間を自己申告で低く抑えるよう言われたこともありました。公衆の面前でどなられたこともあり、自信をなくし、社内で居場所もなくなるという恐ろしさから、長時間働いて挽回するしかないと考えるようになりました」と当時の状況を話しました。

そのうえで、「病気になったときは、君が勝手になっただけでしょと会社に言われました。労災が認められ、書類送検されたことで、会社の非が認められたことは大きなことだと考えています」と話しました。

三菱電機など書類送検 違法な長時間労働させた疑い NHK NEWS 2017/1/11

 この手のニュースは多いですが、この件で珍しいこととして、書類送検のきっかけとなった残業時間が、厚生労働省の定める過労死の危険性が高まる月80時間を下回っていたことです(それでも十分長時間だとは思いますが)。つまり、「労働組合との協定で定めた残業時間より残業時間が上回ってた」事が厳密に適用されたということです。尤も、実際は100時間の残業をしていて、労災認定されていたという事でしたが。
 法律では、基本的には月の残業時間は45時間以内と定められており、繁忙期でやむをえない場合のみ、労働協約があれば時間を伸ばすことが可能です(参照記事)。しかし、実際には長らく運用が不十分で、実際に労働組合との交渉、民事訴訟等で解決してきたケースが非常に多いです(SHOP99事件とか)。
 電通の過労死事件もあったせいか、今回のように労働局が動き出し、書類送検され、かつそれが報道されるというのは、非常に歓迎すべきことでしょう。これを一過性のものにするのではなく、「違法な残業は罰せられる」という事を当たり前にしていきましょう。

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