労働トラブルに対し、労基署ではあからさまな法律違反以外の対応はできない

 ツイッターで、#労基へ届けこの想い というタグで、このようなツイートがありました。
 

 このツイートに限らず、「労基署に行けば解決する」と思っている人は少なくないでしょう。しかし、労働基準監督署の役割は、あくまで「あからさまな」法律違反に対して、企業に対し是正を行うものであり、「あからさま」ではない場合には何もできません。前記のツイートの場合、「会議」「会食」は、仕事であると判断されれば、たとえそれが無駄なものであろうと労基署は何もできませんし、後者も会社側が時季変更権を主張すれば、その正当性がどちらであったとしても、労基署では何もできません。
 労基署でできる事といえば、前記の「あからさまな法律違反の是正」の他には「残業を可能にする36協定の受付」「労災の認定」「懲戒解雇の認可受付」みたいな事であり、「労働トラブル解消に特化した施設」ではありません。例えば、残業時間の上限は法律上存在してはいますが(参考過去記事)、例外規定が山ほどあり、労基署ですら厳密には法律違反の長時間残業を前提にした36協定を受け付けている現状においては(こちらも過去記事参照)、労基署は全く役には立ちません。未払い残業代ですら、組合を通じた活動や労働委員会、裁判等に頼って解決するパターンが多いです。そもそも、残業代も、固定残業代や管理監督者、業務委託契約等で「あからさまな法律違反」に見せかけない方法が沢山あるので、組合や裁判等ではっきりさせないと難しい部分が多いです。

 尤も、労基署は公の作った、行政組織であり、あからさまな法律違反に対しては、是正の為に動いてくれる場合も少なくありません。企業によっては、民間の組合や弁護士が言うよりも、行政の管理の下にある労基署が言った方が効果があったりします。但し、その際も具体的な証拠がないと、腰が重い場合がほとんどです(そもそも、労働基準監督官の数も足りてませんから)。
 労基署で対処できない労働トラブルについては、弁護士や誰でも入れる労働組合(ユニオン)、NPO等に相談するのが吉でしょう。どの組織も労基署以上に玉石混淆で、実際に相談するまでどちらか分かりづらいですが、良いものに巡りあえれば非常に役に立ちます。過去の、労働トラブルの相談先の順番も、ご参考にどうぞ。

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