深刻な非常勤講師の低待遇問題

 非正規雇用されている教員(非常勤)の賃金の安さ、不安定さについて取材した記事が日刊SPA!に掲載されていました。

 非常勤で小学校の教員をしているBさんは、あまりの賃金の安さに戸惑っている。
「手取りは月8万~9万円。これでは生活できないので、家庭教師などのバイトをしながら何とかしのいでいます」
(中略)
「権限のない私にはどうすることもできない問題が多いのがもどかしいです……。正規試験に通っていない私が悪いんですけど、でも正規採用は狭き門。受験のための勉強をしたいのですが、時間がまったく取れなくて悩んでいます」

 Bさんの収入は、生活保護基準以下。現在は生活保護受給を申請することを検討している。

「同じく、生活が厳しくて生活保護を受けながら勤務を続けている非正規教員も多くいます。ちゃんと働いているのに、おかしいと思いませんか?」(Bさん)

小学校の非常勤講師は年収200万円以下!? 働いているのに生活保護受給も 日刊SPA! 2016/9/6

 非常勤講師は、基本的に固定給はなく、授業数に比例して賃金が支払われるのが普通です。つまり、テストや教材作りの分は含まれません。それ故、募集の地点で時間給が高く見えていても、実労働時間は長く、かつそれに比例した給与がもらえない傾向があります。記事に試験勉強の時間が取れないと書いているのも、それを物語ったものでしょう。
 しかも、非常勤講師は都道府県によっては1割を越しており(2014年の地点で、全国平均8%)、元来臨時に必要な時だけ頼るべき制度として非常勤講師という枠が設けられたのにも関わらず、安価で使い捨てられる労働力として、非常勤講師が置き換えられているのが現状です。それによる歪みが、今回の記事でしょう。
 なお、記事にある通り、教員試験(正規試験)に通れば、教員は常勤講師として雇われる事が可能になりますが、教員試験は合格点数と判定基準が予め決まっている絶対的なものではなく、筆記試験の他に、主観によって判断されがちな面接試験があり、合格点も予め決まっているような絶対的な基準はありません。つまり、就職試験に近い、組織等の都合により人数調整が可能な代物であり、時代や地域によって難易度に差が出やすく、所謂「自己責任」論によってこの問題を切り捨てるのは軽率だと考えます。
 そもそも、日本の教育に関する国庫負担率は、現在でもOECDで最下位です(2015年地点の日経記事より)。非正規の極度な低待遇について、単純な国庫負担率の低さを無視することはできないでしょう。教育はほぼ全ての人間にとって必要になるものである為、他の業種以上に低待遇によって質を下げることは許されません故、この問題の解決も直ぐに行うべきでしょう。

参考:あまりにもひどすぎる!非常勤講師の待遇。こどもたちにも影響が….. (Facebookのページ)

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