不当な賃金格差の統計は様々な角度から必要であろう

 アメリカのIT業界で、トランスジェンダーや単純な「男女」性別の当てはまらない方の、賃金統計調査があったようです。

2015年12月から2016年2月にかけて、トランスジェンダーおよび性別のあてはまらない人々を支援、支持する非営利団体であるTrans*H4CKは、IT業界でトランスジェンダー、性別のあてはまらない人々、ノンバイナリー/インターセックス等を自認する人々600名以上を対象に調査を行った。回答者の半数以上が年収7万6000ドル以下、22%が2万ドル以下だったことを、今日(米国時間9/6)USA Todayが伝えた。しかしITキャリアウェブサイトDice.comの最新賃金調査によると、IT業界の平均給与は9万6370ドルだ。つまり、IT業界全体と比べて、トランスジェンダーや性別のあてはまらない人々は給与面で大きく差をつけられている。

テク業界には、未だに性別による賃金格差がある TC 2016/9/7

 日本でも男女雇用機会均等法が制定されており、男女間の賃金格差はたびたび話題になりますが、この統計のように、単純な男女に当てはまらないものは珍しいです。しかし、こういう統計がなければ、そもそもトランスジェンダーや性別の当てはまらない人々に対しての賃金差別が判明することはありませんでした故、非常に有用な調査結果と云えるでしょう。
 統計の基礎を学んだ方にいわせれば当然かもしれませんが、大まかな分類で、かつ母数が大きな集団であれば、容易な検討で大まかな差別の存在を知る事が可能ですが、マイノリティへの差別の可視化は不可能となります。一方で、細かな分類で、かつ母数が小さくなれば、大まかな差別の傾向は分かりづらいですし、調査の妥当性への検討も難しくなりますが、マイノリティの差別はこの方法でないと見つけられません。
 また、この調査の優れているところは、業界別に調査をしている所です。利益の得方による公平性を考慮すると、業界別の調査は非常に有意義といえるでしょう。

 こういうつぶさな調査は手間がかかるのは事実ですが、マイノリティへの差別を可視化するのは、賃金の不当格差を是正する為にも絶対必要な事です。願わくは、わが国でもこういう調査が増えてほしいところです。

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