長時間労働への意識も変えていく必要があるのでは

 ILO(=国際労働機関)の事務局長、ガイ・ライダー氏が、日本の長時間労働について、日テレのインタビューよりこう述べています。

 ■長時間労働の問題はどこにあるのか。

 長時間労働の問題を考える際の原則が2つある。1つ目は、いかなる仕事も労働時間も、人々の健康や福利厚生を害するものであってはならない、ということ。2つ目は、残業は義務や強制ではなく、自発的に労働者側が選べるものでなければいけない、ということだ。しかし、これは難しい問題だ。社会的、文化的、心理的に残業を拒否しにくいということもある。労働時間を減らしていく、というのは、もちろん重要な課題で、一歩一歩解決していくべきだ。

 労働需給がひっ迫している(必要な労働力が確保できない状態)からといって、既にいる労働者に長時間労働を求める、というのは明らかな間違いだ。これは日本政府も理解していると思うが、重要なのは、労働市場により多くの人を参入させることであって、既存の労働者を長時間働かせることに、未来はない。

“世界の労働トップ”「過労死」世界で悪名 2017/5/12 日テレプラス

 至極当然の事を言ってるに過ぎない気もしますが、これは日本の労働者には忘れがちな事ではないでしょうか。

 そもそも、仕事上でけがや病気が生じた場合は、労働災害に認定され、保証の対象となります。これはつまり、仕事によって健康が害されるのは問題であるという事からです(産業革命以後の、職業衛生の歴史を見れば明らか)。しばしば仕事で健康を害した事を勲章のように語る人がいますが(一例として、宮本 政於氏の「お役所の掟」で、肝臓を悪くしたことを自慢げに語る人物がいました)、これは感覚が麻痺してるとしか言いようがないでしょう。

 また、繁忙期の指摘は、前者以上に日本の労働者は忘れがちでしょう。長時間労働は、健康を害するだけではなく、集中力も途切れさせ、精度を悪くするのは言うまでもありません。また、「過労死するほど仕事があって、自殺するほど仕事が無い」という出所不明な言葉が蔓延しているように、失業率こそ減っている者の、短時間の非正規雇用者も増えています。繁忙期にこなすために大事なのは、人手を効率よく増やすか、納期ややり方の再検討であり、睡眠時間を削ってまで無理やり終わらすことではないでしょう。海外先進国の労働レポートを見ても、後者のような管理者は、評価が下げられる場合が殆どです。

 ガイ・ライダー氏の指摘のような意識を持つことが、長時間労働抑制には絶対必要ではないでしょうか。

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