「不利益な取り扱いをしてはいけない」はどこまで有用か

 先日、厚生労働委員会で可決された、高度プロフェッショナル制度等の含まれた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に、下記の一文があったので、そこについての記事を。
 なお、高度プロフェッショナル制度については、この記事をご参照ください

八 使用者は、この項の規定による同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと

以上、厚生労働省 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱 より

 とありますが、ツイッターで話題になっている下記の呟きを見ると、どこまで有用なのかは疑問符が付きます。
 

 言うまでもなく、これ自体は法律違反です。しかし、本当に「不利益な扱いをしてはいけない」事が原因で不利益な扱いをされたのかどうかは、簡単に証明できるものではありません。会社側が正直に言う事は稀ですし、業績悪化や業務上の失敗が理由と言われた場合は、それが嘘だという証明が必要です。
 また、会社側が容易に認めない場合は、団体交渉や労働委員会、裁判等を通じて認めさせる必要があり、場合によっては何年もかかるのが実情です(アリさんマークの引越社も、違法な配置転換から2年係ったので。参考)。不利益な扱いが解雇、降格等、生活できない程のものであった場合は、例え和解金や慰謝料を貰えたとしても、貯蓄が不十分等でそれが決定されるまで耐えられない人は少なくないでしょう。

 そう考えると、「不利益な扱いをしてはいけない」と一文加えるだけでは、労働者にとっては不十分であると考える事が出来ます。政府は、「働き方改革」を謳うのであれば、こういう点を無視すべきではないでしょう。

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