勿論、人を死なせる事は悪いことなんだが…

 自動車販売店で、経営者の死体を遺棄したという疑いで、従業員の男性が捕まったとありますが。(あくまで死体遺棄の疑いであり、殺人かは不明なので、この件については殺人とは書きません)

東京・足立区の自動車販売店の駐車場で8日夜、この店の経営者とみられる男性の遺体が見つかった事件で、警視庁は経営者のいとこで、この店の42歳の従業員を死体遺棄の疑いで逮捕しました。
(中略)
容疑者は、遺体が見つかった自動車販売店の従業員で、逮捕前の事情聴取の際に「休日の取得をめぐって経営者の男性と口論になった。相手の腕を引っ張ったら転倒して頭を打ち、意識がなくなった」と話していたということで、警視庁はくわしいいきさつを調べています。

経営者遺棄事件 従業員を逮捕 09月09日 NHK NEWS WEB

 言うまでもなく、彼の犯罪は事実であれば免責されるものではないし、法の下で相応の罰を受ける必要はあると思います。元来であれば、休日で揉め経営者と意向が一致しなかったとしても、しかるべき機関(労基署、ユニオン、弁護士、NPO等)に相談し、対処すべきであったでしょう。

 それは大前提として、以下私観を。
 故意でないにしても過失があった場合、業務に関連して他人の命を奪うのは、業務上過失致死傷罪として、刑事罰の対象になりますし、故意であれば当然殺人罪が適用されます。また、自殺の決意を抱かせる事によって人を自殺させた場合は自殺教唆罪となります。
 しかし、過労死(自殺含む)に関して、これらが適用された例は聞いたことがありませんし(調べた限り存在しない)、パワハラですら、刑事罰案件でも可能なものに対してすら、民事裁判として当事者間の問題で片づけられる事がほとんどです。
 過労死は厚労省が明確に過労死ラインとして基準を定めているにも関わらず、それを越して過労死させたり、病気にしても、会社経営者の責任追及は、当該者が民事上で訴える事でのみ可能なのが現状です。また、過労の責任が明らかになっても、前記の通り刑事罰にもなった例は皆無です(ワタミのように、経営者が無駄な研修を取りやめる等工夫すれば直ぐに改善できた例であっても)。
 一方で、運送会社等の従業員が、会社側の無茶な指示によって他人を死に至らせる交通事故を起こした場合は、業務上過失致死罪として刑事罰を受け、敬称もなく名前を出される報道をされます(尤も、会社側の責任者も罰に問われる事が多いですが)。その上、遺族が訴えれば民事上でも責任を取らされます。
 どちらも人を死に至らしめているのに、過労死やパワハラ等に対しては、法律上でも報道においても(こっちを問題にする人があまりいないのであえて太字で)、非常に処罰が甘いことに対して、我々はもっと考えても良いのではないでしょうか。

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