均等法11条でセクハラ禁止があるにも関わらず、それが歯止めになってない例

 新日鐵住金ソリューションズで、セクシャルハラスメント(セクハラ)についての訴訟が行われたという記事より。

新日鐵住金ソリューションズ(東京都)で契約社員として働いていた30代女性が、セクハラで休職に追い込まれ、さらに雇い止めにされたと訴え、雇い止めの無効や慰謝料など約1100万円を求める裁判を5月25日、東京地裁に起こした。女性と代理人弁護士らが記者会見した。

(中略)

女性は2013年末、職場のほぼ全員が参加した忘年会で、正社員のX氏から執拗に絡まれた。性的な言葉をかけられ、「ホテルに行こう」などと身体の関係を求められたが、社内の人間関係もあるので「Xさんは既婚者じゃないですか。不倫は犯罪です」などといって、穏便に拒んだ。しかし、X氏はアプローチをやめず、突然腕を組んでくるなどしたという。

(中略)

この投稿が自分への当てつけだと確信した女性は5月26日、会社に相談した。
ところが、対応した2人の部長は、X氏のセクハラを認めず、逆に「誰にも言うな」と口止めしたという。

(中略)

その後10月、X氏が女性と同じグループに人事異動になった。さらにその後、女性はX氏のアシスタントにされ、狭い会議室で顔を合わせることになった。女性はその都度、恐怖にさいなまれたという。

管理職男性に「エロ対決」を要求され……元契約社員女性がセクハラで新日鐵住金ソリューションズを提訴 BuzzFeed News 2017/5/25

 この事件、セクハラどころかストーカー規制法にすら引っかかる程度には酷いもので、しかも会社側はそれを助長させるような人事異動を行ったという話です。
 そもそも、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)にも、セクハラについては

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 とあります。つまり、事業主がセクハラに対して対処するのは法的にも当然であり、それを怠るのは法律違反の反社会行為です。尤も、この法律には罰則がなく、可能な事と言えば厚生労働大臣による行政指導や、企業名の公表程度であり、歯止めになるものではないのが実情です。その為、今回でも被害者は民事訴訟で責任を認めさせるしかないのでしょう。
 今回は余りにも酷い事例なので、よほどの事がない限りは会社側が敗訴するでしょう。然し、ここまでひどい行為をされ、精神疾患にもかかり、かつ団体交渉で2年かけても解決しないというのは、現状が圧倒的に被害者側不利となっている事の証左なのは間違いないでしょう。この状態では、セクハラに対して泣き寝入りする人が後を絶たないのは間違いない故、もっと効果のある法改正をすべきではないでしょうか。

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