非難を浴びて当然の「なぜイマドキ新入社員は定時で即帰ってしまうのか」

 既にあらゆる場所で批判されている、週刊ダイヤモンドの「なぜイマドキ新入社員は定時で即帰ってしまうのか」(著者はキャリアコンサルタント櫻井樹吏氏)ですが、何故非難を浴びているのか分からないという人の為に(そういう類の人がここを読むという期待は薄いのですが…)、細々とツッコミを入れます。

新入社員の立場からすれば、「仕事が終わっているからいいでしょう」と言いたくなるかもしれません。しかし、上司世代には彼らがいつも定時に帰るという行動が理解できないのです。

 そもそも、この前提が思い込みに基づいたもの。アンケートを取ったという記述もありません。なお、別のサイトでは、アンケートも取っており

内閣府が全国の1,016社を対象に行った調査では、社員が残業や休日出勤をしないことに関して、74%もの企業が「人事評価で特に考慮しない」と回答したことがわかりました。これは、思いのほか高い数字だという印象を受けます。

逆に、20代男性の約47%、20代女性の約35%が「長時間労働をしないと評価が下がる」と考えている、というアンケート結果も出ています。

残業しないと評価が下がるは勘違い? ショクスタ

 とあり、完全に最初の記述と矛盾しています。

新入社員が定時で帰ってしまう理由の1つに「所属意識の違い」が挙げられます。
決められた時間の中で、業務をこなす。こういったアルバイト感覚、学生感覚が抜けきっていないうちは、組織に所属しているという意識が根付くまでに時間がかかります。新入社員が「定時だから帰る」という行動は、まさにその意識の延長線上にあります。

 これも調査等はしていないのは明らかです。そもそも、アルバイトについても、「ブラックバイト」という言葉が生まれる位に過重労働となっている事実があるのですが…。

入社したての場合には、組織に対して遠慮がちな部分があります。「何かやることはありますか?」「それ、お手伝いさせてもらえませんか?」という一言が言い出しにくい新入社員もいるでしょう。

 これも思い込みのみ。

アルバイトの延長線上で働いている、と先述しましたが、もちろんアルバイトでも規定のシフト時間を過ぎてからも必要に応じて主体的に関わろうとする人もいます。つまり社員・アルバイトに関係なく、本人の所属欲求の強さから行動は変わってきます。

 さっきの文と整合性がとれていない文。アルバイト感覚と非難しておきながら、同じページで関係ないと記しています。

例えば納期のある業務を任されたり、締め切りのある依頼をされた場合には定時だからと投げ出さずに、上司や先輩社員に“報連相”するなどの必要があります。

 納期の締切りなのに、終わらせずに帰ってしまうのであれば、日本では問題ですが、それが前提であるなら、冒頭に書くべきでしょう。

アルバイト感覚でいること以外にも、新人は「所属意識」に縛られすぎる環境を恐れている傾向があります。例えば、「ノー残業デー」という取り組みをしている会社にもかかわらず、帰らない上司。形式上だけタイムカードなどを定時に打ち、日々深夜まで仕事をしている。強制的に一定の時間になると、社内ネットワークが切られるという状況でもパソコンを持ち帰り、家で作業する上司。そういった上司の姿は自分の将来の姿として映り、明るい未来を感じられないのです。

 「アルバイト感覚が関係あるのかないのかどっちなんだ」とツッコミたくなる冒頭文。そして、タイムカードを定時でうち、その後も仕事をするというのは、紛れもなく違法行為です。この文脈から見ると、そういう意識はなさそうですが…。

上司世代と若者世代の所属意識の違いは、「どこに」居場所を求めているかの違いでもあります。これは単純に自宅や実家という場所ではなく、どの居場所に所属意識を置いているかということです。
 極端な話、帰宅後のインターネット上の集まりこそが自分のホームだと考えていれば、会社の労働時間はアウェイに相当します。当然、定時になれば本来のホームに帰ろうとする欲求が生まれます。いつまでも会社の中に残ることを良しとしません。
 しかしそれでは、いつまでも会社への所属意識は芽生えません。それによって人間関係が深まらず最悪の場合、居心地の悪さで仕事を辞めるリスクにつながります。

 支離滅裂な箇所が多くて分かりにくかったのですが、筆者の主張は、「新入社員は会社への所属意識がないから、残業しないんだ。それが問題なんだ」という事なのでしょう。最後に仕事を辞めるリスクと書いてあるのも、所属意識のなさを問題にしているからでしょう。
 但し、これは調査結果もなにもない、筆者の思い込みが前提なのは十分に留意しておきましょう。

逆に多くの時間を残業に費やしている中堅以上の社員は、所属意識だけでなく「居場所」を会社に求めている場合があります。ただ単に家に帰りたくない場合や、家庭の中で居場所がない場合。少し早く仕事が終わっても、まっすぐに帰らずに周りを食事や飲み会に誘う上司。これらは定時に帰るトンデモ新入社員とは、正反対だと言えます。

 ついに「トンデモ新入社員」と罵倒しました。しかし、それと比較しているのは、仕事がないのに、自分の情けない都合で会社を「居場所」にせざるをえなくなった上司。
 そして、最後まで根拠のない思い込みが続きます。

残業が必要になる場合は、残業を良い悪いではなく、何のために残業が必要なのかを新入社員に考えさせる。そうしたコミュニケーションを丁寧にとっていくことがまずは重要ではないでしょうか。

 最後の文章。「良い悪い」と「何のために」の比較が非常に分かりにくいのですが、どうやら、「残業が必要なのにしない新入社員」が前提になっている模様。この前提、国民論、世代論等によくある「一部の非常識な連中を根拠もなしに一般化し、問題だと騒ぐ」差別的な言説そのものなのですが、百歩譲っても、最初にそう言う社員のことと書くべきでしょう。このタイトルで、前提記載なしだと、多くの人には「仕事がなくても新入社員は残業すべき」だと思われても仕方ないのではないでしょうか(尤も、本気でそう考えているような感じもしますが)。

 さて、これに一切触れられていない大事な事として…残業とは、定時内に仕事を終わらすことが難しい場合、労使が予め協定を結んで労基署に届け出て、イレギュラー的に行うものです。賃金が割り増されるのもそのペナルティの意味合いがあるからです
 新入社員であろうがそうでなかろうか、定時で帰る事は何も悪い事ではありませんので、必要なければ堂々と定時帰宅をしましょう。

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