育休取得による不利益な扱いは当然ながら禁止されてるのだが…

 育児休業の復帰後に、不利益な扱いをされたという男性の話が朝日新聞に掲載されていました。

 いま、「パタハラ」がやみません。育児に積極的な男性が、会社で解雇・降格させられたり、昇進・昇給の機会を奪われたりする「パタニティー(父性)・ハラスメント」のことです。
(中略)
 東京のエンターテインメント会社に勤めていた男性(41)は2013年春、育休から復帰して職場に行くと、上司にこう告げられた。「担当が決まってないのか」と思ったが、その後、二度と仕事が回ってくることはなかった。

 その4カ月前までは、大勢の部下を束ねていた。土日も朝晩も関係なく忙しかったが、仕事がおもしろくて全く苦ではなかった。部長職に昇進したばかりで、もっと大きな仕事ができると思っていた矢先。積み上げてきたものを育休ですべて失った。「怒りは今も続いている。この先もずっと残ると思います」
部長職、育休とったら干された 転勤迫られ…退職 2017/1/15 朝日新聞

 正直、『パタニティー(父性)・ハラスメント』という性差を意識したような造語はどうかと思いますが、それはさておき、これは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の十条

第十条  事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

 に完全に違反する行為です。ただ、この件は少し難しい事情もあるような気がします。そもそも、このようなシチュエーションで、会社側が「育休をとったから仕事を干した」と主張する可能性はほぼゼロで、実際には「育休の間で業務内容が大きく変化し、彼のノウハウは通用しない為、やむを得ず今のような状態にしている」のように主張してくるケースが多いからです。そうなった場合、実際の発言の録音や、因果関係の証明等を集め、かつ労組での団体交渉や労働委員会、裁判等を行わないと、大抵はこれがハラスメントと認められません。
 この問題も、他の問題と同じように「違法行為か分からない」ような事と、「分かっていても戦うのに手間がかかる」という両面によって、解決が難しくなっているように感じます。現状は、機能している労働組合(ユニオン)に頼るのがベストですが、これに関しても、もっと気軽に解決できるような仕組みができる事を願う所です。

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