求人詐欺への取締が労働協約しかないのが現状

 エステ・ユニオンが、TBCに対して、労働協約を締結したという話題が先週出てきました。

 エステサロンで働く人で作るエステ・ユニオン(三浦かおり共同代表)と業界大手のTBCグループ(東京都新宿区・手塚圭子社長)は、求人の労働条件を明確にするため固定残業代を明示するなどした労働協約を締結した。両者が26日に記者会見し、公表した。求人時と実際の労働条件が異なるケースが多発する中、トラブル防止に向けた異例の協約締結となった。
(中略)
 締結された協約は(1)採用人数、離職人数、育児休業の取得状況などの情報を公開する(2)固定残業代を明示し、ハローワークや民間求人媒体で求人情報を同じにする(3)求人情報以下の条件で労働契約をしない−−などとする内容。他社は基本給に「超過手当含む」などと記述されるだけで残業代や残業時間が明示されていないが、同社の新卒求人には、基本給に22〜24時間分の一律時間外手当(3万円)が含まれることが明示された。

TBCと労働協約締結 固定残業代明示 毎日新聞 2016/8/26

 協約によって、労働条件が向上する事自体は素晴らしいことではあるのですが、そもそも、求人での情報公開については青少年の雇用の促進等に関する法律と厚生労働省による指針によって、定められているものです。事実、厚生労働省のリーフレットには、こうあります。

固定残業代(名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金)を採用する場合は、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うことなどを明示すること。
若者雇用促進法のあらまし 厚生労働省

 つまり、この法律が機能していない為、労働協約でこのような事まで書かないと行けなくなったとも云う事ができるでしょう。
 さて、何故この法律が機能していないのかですが、単純に考えれば罰則がないからであり、それ故このような求人を載せても、載せた企業はもちろんの事、受理した側もお咎めがないのが現状です。
 それ故、求人段階で求人詐欺による無駄を防ぐためには、労働協約に頼るしかなく、しかも、それは実際に就労している労働者の協力が絶対必要になるということです。求人ではなく、契約であれば以前も書いた通り、契約違反であれば即刻雇用契約の解除が可能ですし、書面で、かつつぶさに書いている契約でなければ、錯誤による契約として無効に出来る可能性もありますが、求人段階で取り締まらなければ、面接等での無駄(交通費や時間)は費やされてしまいます。
 厚生労働省には、求人詐欺をなくすために、より効果的な対策をお願いしたい所です。

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