こんな現状じゃ36協定など役に立たない

 最近のビジネスジャーナル記事より、36協定を締結しても、残業時間の上限の制御がきいていないという記事がありました。

事実、2014年に「しんぶん赤旗」が行った調査では、NTTが150時間、東レが100時間など、異常な残業時間の上限設定を行っていたことが明らかになった。ほかにも、上場企業の多くが過労死ラインといわれる月80時間を超える残業時間で協定を結んでいた。

NTT、残業上限が月150時間の異常さ…安倍首相、企業の長時間残業廃止へ ビジネスジャーナル 2016/9/13

 この問題は昔から指摘がありましたが、現在も改善はされていません。元来、36協定は労基署に届け受理される必要があるわけですが、法律には残業時間の上限があるにも関わらず、労基署は違法なものを平気で受理しているわけです。尤も、厚生労働省の資料にもあるように、「特別な事情」「臨時的なもの」というあいまいな言葉で、一定の割増残業代さえ支払えば上限を超える時間の残業をしてもよいと記している現状もあり、その穴を利用して過労死ラインを越すような残業時間が届け出されています。
 まあ、最近も残業時間の上限を罰則付きで設定しようという動きもあるので、それが今までの法律の穴を塞ぐようなものであれば、この問題は大きく改善するでしょう。しかし、今までの法律のように、長時間残業を合法化するような穴があれば、過労死問題の改善はあり得ません。最低限でも、過労死ラインを超えるような労働に関しては、例外なしに司法が強制ストップさせなければ、この問題の改善はあり得ません
 もっとも、36協定を締結せず、残業をさせている企業が平成25年の厚生労働省の調査によるとおよそ2割5分にも及ぶという調査もあります(厚生労働省「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」pdf注意)。しかも、労働基準監督官が事業所を訪問するという調査方法であり、その前提で正直に答えた企業だけでこの結果な訳ですから、実際はもっと酷いでしょう(事実、この調査だと「時間外労働がない」という企業が25%もあった)。残業時間上限どころか、法の例外が存在しない36協定の提出ですら、現状順守されていません。
 至極当然ですが、最低限の法をしっかり守ることを徹底させない限り、長時間残業の問題は解決しません。昨今、弁護士や労組の取り組みが活発になっており、違法行為が告発される企業も増えていますが、行政側のやる気もさらに必要になっていくのは、言うまでもないことでしょう。

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