パートタイム労働者への置き換えを「大改革」と言われてもねぇ

 米アマゾンの一部労働者が30時間労働になるという記事がありましたが…。

 アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が所有する同紙によると、対象となる従業員は40時間労働の従業員と同等の福利厚生を受けられるが、給料は4分の3になる。

 アマゾンがウェブサイトeventbrite.comに投稿した説明会の招待案内によると、同社では多くの従業員が既にパートタイマーとして働いているものの、このプログラムは管理職を含む部署全体が週30時間の勤務をすることになっているという点が今までにないという。

 この「技術人材の生活と仕事の比率の大改革」と題された投稿は26日にオンラインで閲覧可能となり、ワシントン・ポストが最初に取り上げた。

米アマゾン、「週30時間労働」を試験導入へ 報道 AFPBB nEWS 2016/8/27

 この制度、アメリカ法人だけに適用されるのか、他の国の法人にも適用されるのか不明ですが、アメリカで適用されるものとして、以下を記します。
 アメリカも、日本と同様にフルタイム労働者に比べて、パートタイム労働者が不安定であり(尤も、アメリカではフルタイムも不安定ですが…)かつ低賃金という問題をある程度抱えており、なるほど日本やアメリカでは、記事にある通り「大改革」でしょう。しかし、記事にある通り、賃金もその分下げられるのがポイントです。「管理職を含む部署全体」だから今までにないと説明したそうですが、どどのつまり、単なるパートタイムへの置き換えです。更に言ってしまえば、一種の整理解雇(リストラ)でしょう。
 もっとも、原則は同一労働同一賃金ではありますから、パートタイムが「不当な」低賃金で働かされているのであれば、大ではないものの、改革ではあるでしょう。但し、国際労働機関(ILO)では、同一労働同一賃金は基本的人権の一種とされています。故、この待遇自体は本来どの職場でもしないといけない、当たり前のものであると認識すべきでしょう。
 結論としては、職場から追い出すカタチの解雇を用いない整理解雇の一種として、このプログラムを立ち上げたに過ぎないわけで、「働き方の大改革」として取り扱うのは流石に不適切だと思います。むしろ、このような整理解雇が容易に行われるようになれば、労働者の賃金が簡単に下がり、結果生活できなくなる人が激増する可能性すらあるわけで、この動きを称賛するのは非常に危険ですらあると考えます。

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