労働監督の民間委託は、癒着の温床になり得ないか

 政府の規制改革推進会議のタスクフォースは、一部の労働監督業務に対して、民間委託を提言しているようです。 
 厚労省は反対しているようですが。

 政府の規制改革推進会議のタスクフォース(主査・八代尚宏昭和女子大特命教授)は6日、労働基準監督署の一部業務の民間委託に向け、社会保険労務士団体から意見を聴取した。団体側は、研修を十分に行った上で、事業所への任意の実態確認や労務管理の指導・助言などを行うことは可能だとして、受託に前向きな姿勢を示した。
労働監督の受託に前向き=社労士団体 2017/4/6 時事通信

 労働基準監督署の業務を減らすという意味では、指導、助言だけなら良いアイディアではあると思います。但し、問題は、実態確認のような、中立公平さがより求められる業務まで、民間委託しようという箇所にあるでしょう。
 例えば、委託された側が調査対象の企業と関係が深い場合は、客観的な調査結果が必ずしも出ず、場合によっては隠蔽に加担する可能性もあり得ます。そこまでは行かずとも、法的に黒に近いグレーゾーンな行為をした場合でも、判断が甘くなる可能性は十分あり得ます。これが行政による調査であれば、もし隠蔽に加担した場合も、オンブズマン制度などで可視化を行い、問題視することは可能ですが、民間だと行政のように監視することは実際問題難しいです。

 また、労働監督の仕事も、少し研修すれば出来るものではないという社労士の方の声もあります。

 まあ、ある程度知識のある人に対して、更に研修を課せば可能にするという可能性もありますが、それでも法が分かれば良いというものではない専門性の高い、難しい仕事であるのは確かでしょう。

 結局のところ、大事なのは人手不足だから民間委託すればよいという安易な考えではなく、専門性の高い職員を、癒着が生じ得ない場所でどう増やしていくかという考えが重要なのではないでしょうか。

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