下請け企業の長時間労働是正

 昨日、厚労省が違法な長時間残業を行う企業の実名公表について記事にしましたが、行政が別の視点からも監視するとのニュースが入ってきました。

長時間労働の是正を目指す政府は、下請け企業が親事業者に過酷な勤務を強いられる事態を打開しようと、労働基準監督署による新たな通報制度を年内にも導入する。不払いなど賃金に絡む違法行為を対象としてきた仕組みを応用し、長時間労働も取り締まる。情報収集のため、インターネット上でのサイバーパトロールも強化し、より広く深く“ブラック企業”を監視する。

 新たに始める通報制度では、情報収集に基づき、労基署が中小企業に立ち入り調査を実施。労使の合意なしに月80時間以上の残業をするなど、労働基準法違反に当たる長時間労働を調べる。背景に親事業者による無理な発注があると判断すれば、中小企業庁や公正取引委員会に通報する。

 通報を受けた中小企業庁や公正取引委員会は親事業者に指導を行う。事態が改善されない場合は実名公表に踏み切るほか、罰金が科せられるケースもある。
下請け企業の長時間労働是正 政府、労基署の通報制度導入へ サイバーパトロールも強化で「ブラック企業」監視

 利益を上げているにも関わらず、法に則った公正な賃金を支払わない大企業は論外ですが(少なからず存在しますが)、中小下請け企業の場合は、法に則った公正な賃金を支払うことによって、経営破綻の可能性もありますので、このような制度自体は歓迎できる動きだと思います。尤も、経営がどうであれ、法に則った公正な賃金を支払うのは当然ではありますが…。

 尤も、どこまで運用できるのかについては、疑問点も少なくはありません。昨日書いた企業名公表も重い腰をようやく上げたような感じですし、運用方法を間違えると、下請け拠点を海外に移す企業が増える等で、下請け企業が更にダメージを受ける結果にもなりかねません。様々な方法を駆使して、元請け大企業の不公正な搾取から下請けを守る必要があるでしょう。

 労働者のみの問題については、実際は労働組合だけでほとんど改善可能だったりしますが(但し、日本では労組に対して強い抵抗がある人が多いので、残念ながら今は現実的ではない)、元請け下請けの問題については、組合の力だけでやるのは難しい部分も多く(不可能ではないですが)、政府の力がどうしても必要になるので、政府の動きにはしっかりと注目しておきましょう。

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