各政党公約を労働面から見る2019参院選~③日本共産党~

 表題の通り、労働面から公約を見るの第三弾。なお、時間の都合上、今回の日本共産党で最後になります。悪しからず。
 今回は日本共産党ですが、全文は非常に長いので、ピックアップして挙げます。

「働き方関連法」に盛り込まれている「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、労働時間規制を全面的に適用除外にする制度です。週休2日にあたる年間104日さえ休めば、24時間労働を48日間連続させても違法にならず、過労死を促進・合法化する制度です。8時間労働制を根底からくつがえすこの制度を廃止します。

  高度プロフェッショナル制度廃止とあり。

ホワイトカラーを際限のない長時間労働に追いやる企画業務型裁量労働制を廃止します。専門業務型裁量労働制については、真に専門的な業務に限定し、その要件と運用を厳格化します。事業場外みなし労働時間制についても、その要件と運用を厳格化します。

 企画業務型裁量労働制の廃止、みなし労働時間制の見直しとあり。但し、後者については具体的な記載はなし。

残業時間の上限基準としては、週15時間、月45時間、年360時間が定められています(労働省告示154号)。これに法的拘束力をもたせます。この上限時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用します。残業時間の青天井を容認する三六協定の特別条項を廃止します。

 割増賃金が残業抑制という本来の役割を発揮できるように、1日2時間、週8時間を超える残業の割増率を50%にします。また、3日連続で残業させたら4日目からの割増率を50%にします。
 法定休日について、労働基準法は、4週間をとおして4日の休日をあたえる4週・4休制となっているために、最大48日連続勤務を可能にしています。このために休日を与えない違法な連続出勤が表面化しにくい状態を生んでいます。連続出勤を規制し、毎週休めるようにするために、7日ごとに1日の法定休日を保障します。
 EU(ヨーロッパ連合)は、一日の労働が終わり、次の労働がはじまるまでのあいだに連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保することを法制化しています。勤務間インターバル規制は、一日の労働時間規制にもつながる重要な制度です。この制度は、世界45カ国で導入されています。労働基準法に連続11時間の勤務間インターバルを明記します。例外は、必要最小限にとどめます。

 残業時間の上限を例外なしも含めしっかり記載。三六協定の特別条項廃止とあり。また、残業代の割増、インターバル規制についてもしっかり記載あり。

企業に罰則を科すとともに、「サービス残業」が発覚したら、労働者に支払う残業代を2倍にします。

 サービス残業についての規制強化として、残業代倍払い制度あり。

日本共産党は、年次有給休暇を最低20日(現行は10日)とし、一定日数の連続取得と完全消化を保障させます。傷病や家族の看護の心配によって年休取得を控えることのないように、有給の傷病・看護休暇を創設します。

 有給休暇の日数増加、傷病、看護休暇創設と有。

ILO(国際労働機関)は2019年6月、ハラスメントを包括的に禁止する条約と勧告を圧倒的多数の賛成で採択しました。第三者からのハラスメントを含め、労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する法律の制定を各国政府に求めています。保護する対象者は、雇用されている労働者だけでなく、請負や委託などの契約の形態にかかわらず働いている人、インターンや訓練中・実習中の人、雇用が終了した人、ボランティア、求職者、求人への応募者、使用者としての義務・責任を果たしている個人としています。さらに、規制する場所を、労働がおこなわれる「職場」に限定せず、「往復の通勤時」や「休憩や食事をとっている場所」「労働に関連する移動あるいは旅行、訓練、イベントあるいは社会活動がおこなわれているあいだ」「使用者が提供する宿泊施設」「ICT(情報通信技術)の利用を含め、労働に関連するコミュニケーション」なども対象にしています。日本政府がこの条約を批准し、ハラスメント禁止を明記する法改正をおこなうよう求めていきます。

 ILOの条約批准、ハラスメント防止の法改正とあり。どのような法改正かについては具体的にはなし。

 政府が導入しようとする「解雇の金銭解決」制度に断固反対します。
 希望退職・転籍についても、本人同意・取消権、労働組合の関与などのルールを確立します。ハラスメントを禁止し、人権侵害をきびしく取り締まります。労働基準監督署が、退職強要などを日常的に監視し、取り締まるようにします。会社分割・企業譲渡における雇用と労働条件のルールをつくります。55歳一律転籍など、年齢による雇用契約の不利益変更や採用制限を禁止します。事業所の閉鎖、移転、縮小の際に自治体と協議する仕組み(リストラ・アセスメント制度)をつくります。投資ファンド(資金運用組織)による企業買収、会社資産の売却が野放しになっていることにより、労働者が安易に解雇されるなど、深刻な事態が広がっています。ファンドが被買収企業の労働条件を実質的に決定している場合には、労働者・労働組合との協議・交渉を義務づけるなど、法的規制をおこないます。

 解雇制度について。法的規制を強化するとあり。

 日本共産党は、違法な「派遣切り」、「非正規切り」とたたかう労働者・労働組合と力をあわせて、大企業の違法派遣の実態を告発し、国会でくり返し質問し、労働者派遣法の抜本改正を求めてきました。他党に先駆けて、2008年4月に「派遣労働者保護法案」を提案しました。同法案は、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳格に制限しています。製造業派遣や日雇い派遣を全面的に禁止し、「使い捨て」労働をなくします。派遣受け入れ期間の上限を1年とし、違法があった場合は派遣先に期間の定めなく直接雇用されたものとみなし、正社員化をすすめます。派遣先の正社員との均等待遇、グループ内派遣の制限をおこない、常用代替を規制します。

日本共産党は、正社員が当たり前の社会をめざして、有期雇用については、臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定し、安倍政権の名ばかり「同一労働同一賃金」でなく、同一価値労働同一賃金をはじめ、有給休暇などの労働条件について正社員との均等待遇を実現します。同一価値労働同一賃金と均等待遇の原則を労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記する法改正をおこないます。有期雇用労働者に対する不合理な労働条件を禁止した労働契約法第20条を厳しく守らせます。


 わが国も批准しているILO条約「同一価値労働・同一報酬」(100号)にもとづき格差を是正します。同一価値労働同一賃金と均等待遇の原則を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記します。
 労働時間を短縮し、男女賃金格差を是正するとりくみは、本当の意味でのワーク・ライフ・バランスを実現するとともに、男女ともに仕事も家庭生活も両立できる社会、「8時間働けばふつうにくらせる社会」にする上でも重要です。

 派遣労働者、有期雇用について。規制強化し、同一価値労働同一賃金、合理的な理由がある場合以外は正規雇用が当たり前にするとあり。男女での差別も禁止するための法改正をするとあり。

最低賃金の地域間格差を是正し、世界で当たり前の全国一律最低賃金制を創設します。最低賃金は「ただちに全国どこでも時給1000円」に引き上げ、「すみやかに1500円」をめざします。1500円を実現すれば、8時間働いて、残業なし・週休2日で、月25万円になります。最低限の要求として当然です。
 最低賃金の引き上げにあたって、中小企業へ支援を抜本的に強化します。米国では、5年間(2007~2009年)で最低賃金を41%引き上げ、540万人分の賃上げをおこなったとき、8800億円の中小企業支援(減税)を実施しました。フランスでは、3年間(2003~2005年)で最低賃金を11・4%引き上げた際に、中小企業の社会保険料事業主負担を2兆2800億円軽減しています。2019年には2兆6000億円の軽減がおこなわれます。
 日本の中小企業支援策は、「業務改善助成金」しか存在しません。事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性を向上させるために設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などをおこなった際に、その費用の一部を助成するという制度です。制度がはじまった2011年度の予算額は38・9億円でした。しかし2019年度予算は6・9億円。5分の1へと減額され、中小企業1社あたりわずか200円の助成にしかなりません。
 中小企業が最低賃金を支払えるように賃上げに本格的な支援をおこないます。年7000億円の国費を投入し、社会保険料事業主負担を減免します。この措置によって、1000人未満のすべての企業で1000円を実現することができます。この措置を3年程度続ければ、1500円に接近することができます。同時に、大企業の下請けいじめなどをきびしく規制します。

 最低賃金を全国一律1000円以上にし、すみやかに1500円以上にするとあり。また、その為に中小企業へ本格的な支援をすると、国費の額明記含めてあり。

労働監督官数は、ILO基準(「先進国」の場合、1万人の労働者ごとに1人の監督官を配置する)にそって、政府の責任で2倍以上に増やします。「ワークルール教育推進法」を制定し、学校・職場・地域などで労働者の権利をしっかり教えるようにします。

 労働監督官数を増やすとあり。

 かなりかいつまみましたが、総評としては、具体的に踏み込んだものが多く、法規制を強化するものが多いように思えました。



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