残業代をなくせば残業は無くなるかどうかを検証する

 カルビーの松本会長が、残業代(≠残業制度)について、なくしたほうがいいと述べていますが。

――日本企業が取り組んでいる働き方改革を見ると、その多くは残業規制のための制度作りに注力しすぎている気がします。この点はいかがですか?

 日本の働き方において何が一番悪いかといえば、言うまでもなく残業ですよ。残業手当てという制度がある限り、問題は解消されません。

 働き方改革に関しては、あながち政府が言ってることも間違ってるとは思いません。裁量労働制にしたらいい。特にオフィスで働いている人たちは、「時間」ではなく「成果」で働いているのですから。

 ところが、そうした人たちに残業代を払うとなれば、そんなのするに決まっているじゃないですか。

 例えば、「伏見さん、明日から残業手当を払うよ。1時間100万円」。しますか?

――します。

 当たり前でしょ。「松本さん、あなたカルビーの会長だけど残業代払うよ。1時間10万円」。やるに決まってますよ。
 もらっている給与に対して、残業手当は高いです。あんな悪しき制度を作っているから社員は使うんです。いま残業を月に数十時間している人がいたとして、明日から残業手当を1時間30円にすれば、きっと誰もやらないですよ。
残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長  ITmedia 2018/6/5

 100万円なんてありえない想定をたとえ話にしている地点で、会社経営者としてもどうなんだろうという気しかしませんが、それは置いといて…。

 もし、この発言が事実であれば、残業する理由の多くは残業代が欲しいという理由になる筈ですが、そういう統計結果は存在しません。
 例えば、ティムスドライブが2017年に行った、残業理由のアンケートは、仕事量が多すぎるが44.5%で圧倒的であり、残業代が欲しいという人は、9.8%しかありませんでした。また、東京商工リサーチが企業に対して行ったアンケートでも、理由の多くは納期や発注量に対応することや、人手、時間不足を理由にしており、仕事量の多さが残業に繋がっている事を裏付けています。この地点で松本会長の発言は事実に基づかない妄想でしかなく、経営努力や社会制度の不備を労働者のせいにした卑劣な言いがかりと言い切れるでしょう。
 そもそも1人あたり平均、年間300時間のサービス残業がある(過去の記事参照)のが現状である昨今、労働者は相当な努力をしているのはいうまでもありません。残業代が欲しい労働者が残業しているという妄言を吐くのではなく、企業経営者や政府等が協力し合って、残業を減らすよう努力すべきでしょう

参考:カルビー松本会長、ZOZO田端氏「高プロ(残業代ゼロ)が残業なくす」という #呪いの言葉の解き方 blogos
国家公務員一般労働組合2018年06月19日

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