働き方改革で変わる法律について ②年次有給休暇の使用義務化

 働き方改革で、実際に法律がどのように変わるのかを、幾度かに分けて特集しますの第二弾。

 下記、厚生労働省のサイトより、必要箇所をかいつまんで。重要と思う箇所は太字にしています。

使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日については、年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとすること。ただし、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は当該与えた日数分については、使用者は時季を定めることにより与えることを要しないものとすること。

①使用者が時季を定めるに当たっては、労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。
②各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年次有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。
以上、厚生労働省 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱 より

 分かりづらい為、要点をまとめると…

・年次有給休暇が十日以上の労働者(つまり、パートタイム労働者は除かれる)に対し、最低年次有給休暇を五日以上与えること
・定めるにあたっては、取得時期について、労働者の意思を尊重するよう努めなければならない
・使用者は、有休の管理簿を作成しなければならない

 となります。
 そもそも、労働者には有給休暇を時季変更権(なお、これは理由なしは勿論のこと、慢性的、予測可能な繁忙を理由とする場合は行使不可能です。判例もあるので)を除いて自由に使う権利はありますし、現行法がしっかりと運用されていれば不要な筈なのですが、残念ながら運用はされていないようです。事実、労働者の四割以上は有給消化率が五割を切っているというデータもあります故、有給取得を促進する意味としては良いかもしれません。
 ただし、労働者の意思尊重はあくまで「努力義務」であり、その点を悪用して、元来の年末休暇や夏季休暇を有休に置き換わって達成させる企業も少なくはないでしょう。法文にそれを止める義務は記載されていませんし、「努める」程度なら抑止力になり得ない可能性も十二分に考えられます。
 法を十分なものにするためにも、意思尊重を義務付ける、労使交渉なしで有給への置き換えを禁じる等、する必要があるように思えます。

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