長時間労働規制を邪魔する経団連とそれに従う政府

 連合(日本労働組合総連合会)内で、月100時間以下の残業を容認する議論が出ているという記事がありますが…。

 政府が検討する残業時間の上限規制について、連合内で繁忙期に月100時間を超えないとする案の条件付き容認が議論されていることが分かった。
(中略)

 政府は上限時間を明記して労働基準法を改正する方針。既に月平均60時間、年間720時間とする案については、労使とも容認している。経済界は「1カ月間に限れば100時間まで残業を認める」方向なのに対し、連合は「とうていあり得ない」(神津里季生会長)と反発してきた。
 安倍晋三首相は14日の働き方改革実現会議で「労働側、使用者側が合意を形成しなければ、残念ながらこの法案は出せない」と発言。経団連と連合が合意しなければ残業時間の「青天井」が続くと、協議を促した。
 連合内では、現状で残業に上限がない建設、自動車運転などの業種を法改正後は例外としないことなどを条件に「100時間容認やむなし」の意見が出ている。ある労組幹部は「容認しなければ青天井が続く。首相に人質を取られたようなもの」と話す。

残業時間100時間、容認検討…繁忙期、条件付き 毎日新聞 2017/2/23

 連合が腰砕けだという批判は多いですし、気持ちは分かるのですが、これを読む限りでは、経団連(日本経済団体連合会)が長時間残業を容認する方向に持ってきており、政府側がその意向に従い、「従わないと合意なしとみなし、法案を出さない」と脅しをかけているのが現状のようです。なお、現状でも、月95時間の残業時間を「労基法36条の規定を無意味なものとするばかりでなく、安全配慮義務に違反し、公序良俗に反するおそれさえあるというべきである」という見解を裁判所が出しており(参考)、100時間まで認めるのは法案をほぼ骨抜きにするようなものなのですが、政府は経団連の意向を優先しているのが現状のようです。
 そうであれば、連合を批判するよりも、経団連と、その意向を優先させ、労働者側に配慮しない政府こそを批判すべきでしょう。現行法と変わらない法案が出来た所で、電通等で生じた過労死の悲劇が防げるわけがありませんので。
 また、我々も、「法案が出来た」という外のハコだけ見ずに、その中身までをつぶさに見て、その法案に意味があるものかどうかを考えたい所です。

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