無期転換ルール直前の不当雇い止めの判決に思う

 博報堂の非正規雇用労働者が、無期雇用直前に雇い止めになった件で、福岡地裁が無効の判決を出したようですが…。

大手広告代理店「博報堂」の嘱託社員だった福岡県内の女性が無期雇用になる権利を得る直前に雇い止めされたとして、同社に社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が17日、福岡地裁であった。鈴木博裁判長は雇用を継続した上で、雇い止め翌月(2018年4月)から判決確定日までの賃金と年2回の賞与を支払うよう命じた。
博報堂雇い止め訴訟 元嘱託社員の女性が勝訴 福岡地裁(毎日新聞 2020年3月17日)

 この判決自体は良いものですし、博報堂は当たり前に受け入れるべきでしょう。
 但し、判決まで2年弱かかっており、最長360日の失業保険では全期間カバーできませんし、賃金仮払い仮処分の制度(解雇無効の請求と共に賃金の支払い請求を行う場合に、正式裁判前に賃金仮払いの請求をする手続。裁判所が最終決定可)があるにはありますが、その手続きも煩雑だし、全額補てんされるわけでもなく、資産があった場合は認められません。しかも、仮払いも、あからさまな不当解雇のような案件の場合ではなく、今回のような案件の場合だと、必ずしも認められるとは限りません。
 これは氷山の一角で、他にも大量の非正規雇用が無期雇用転換や、2020年の派遣法改正(他の労働者との不当な格差を設けてはいけない)等、やむを得ないとは言えない理由で切られた人は少なくないでしょう。裁判より短期間なもので、労働審判もありますが、相手が非を認めなければ前記のような裁判になり得ます。現状では、非正規雇用の守りがまだまだ脆弱だと言わざるを得ません。
 非正規雇用に対し、完全な期間雇用(契約更新がない)を除き雇止めをした場合は、雇い主は最低1年の生活を保障位の大きな事をしない限り、非正規雇用の不当な使い捨て問題は横行するでしょう。大きな改革を期待したい所です。


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