職場が司法不介入の場になっていないか?

 福島県の運送会社「大島産業」が、賃金未払いと凄まじいパワハラで訴えられており、その地裁判決が14日に出たという事ですが…。

 福岡県宗像市の運送会社「大島産業」にトラック運転手として勤めていた男性(40)が、社長らに頭を丸刈りにされたり土下座させられたりするパワハラを受け、その様子を社長のブログに掲載されたとして、会社側に慰謝料や未払い賃金など1669万円の支払いを求めた訴訟の判決が14日、福岡地裁であり、岡田健裁判長は同社と社長に1541万円の支払いを命じた。
 判決はブログの写真などから、社長らが男性に対し、(1)配送後に温泉に立ち寄ったのを理由に頭を丸刈りにした(2)高圧洗浄機で水を噴射した(3)ロケット花火を打った(4)土下座を強要した--などと認定。岡田裁判長は「暴行及び原告の人格権を侵害する行為であることは明らか」と批判した。
 男性が勤務したのは2012年から約2年間。1541万円には慰謝料110万円の他、756万円の未払い賃金と、労働基準法違反が悪質な場合に課すことがある付加金494万円も含まれる。

被害の元運転手が勝訴 「頭丸刈りや土下座」 2018/09/14 毎日新聞

 今回の件は、民事としての判決としては、慰謝料が安すぎる気もしますが、妥当な物ではある気がします。
 それどころか、岡田裁判長が「暴行」とまで発言している通り、「暴行罪」「名誉棄損罪」等で刑事事件としても立件可能な行為なのは明らかでしょう。但し、現状は刑事事件としての立件はされていません。単純に被害者が被害届を出していなかったとも考えられますが、この件に限らず、刑事事件に相応するものでも、パワーハラスメントという枠にされると、刑事罰扱いされにくい傾向があるように見受けられます(せいぜい、温野菜のフランチャイズの件)。
 元来、暴行、傷害や名誉棄損はどんな場合であってもあってはいけないものであり、だからこそ刑事罰として立件できるものなのですが、厚生省のホームページを見てもこういうのを刑事事件にしようという呼びかけはありませんし、パワハラ相談であっても「刑事事件として被害届を出そう」と提案する場所は少ないように思えます。

 かつて、内藤朝雄氏が、学校のいじめ問題について「学校が司法不介入の聖域化している」事を問題視していましたが、職場においても同じ事が起こっているように思えます。せめて相談する場所において、パワーハラスメントを防ぐ手段として、刑事事件として被害届を出す等の解決策を積極的に出しても良いと考えます。

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