専門型裁量労働制が安易に拡大できる現状は問題では

 日本経済新聞に、「システム開発も裁量労働制に」という記事がありました。

あらかじめ決めた時間を働いたとみなす裁量労働制で、厚生労働省はIT(情報技術)を活用したデータ管理システムの構築などの業務も新たに適用対象に加えることが分かった。2024年にも、企業からの届け出ごとに適用されるかどうか決まるようになる。法改正はせず現行法の再解釈と運用見直しで実現する。
システム開発も裁量労働制に、法改正なく対象業務拡大 日本経済新聞 2023年1月28日

 尤も、ゲーム開発や情報処理システムの分析、設計、システムコンサルト等、一部のIT関連では、専門型裁量労働制は適用されていましたが(参考)、2024年はデータ管理のシステム構築も適用されるようです。
 裁量労働制について、高度プロフェッショナルのように休日労働や深夜残業までも野放しにされるような程酷いものではないにしても、残業代が発生する通常の業務よりも長時間労働になるという点は色々な場所で指摘されています(例:知りたい聞きたい 裁量労働制ってどんな制度?赤旗)。野村不動産でも、この制度が悪用され過労死が発生しています(参考:裁量労働制を違法適用、社員が過労死 野村不動産 朝日新聞)。現状だと、労働者側にとってデメリットが大きい制度と言わざるを得ないのに、現状は法改正もなしに制度拡大ができるようになっています。
 命にもかかわる長時間労働が発生しかねないこの制度、本当に裁量がある人に適用できているのか、経団連のような経営者側だけの都合で広げられていないのか、改めて問題視する必要があるように思えます。

<追記>

嶋﨑弁護士が、下記の指摘をツイートしています。

あくまで、「現行の対象業務の明確化」ということで、制度が変わるわけではないとのことです。


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