ブラックバイト「温野菜」の裁判が漸く開始された

 去年から話題になっている(拙ブログでも取り上げています)、しゃぶしゃぶ温野菜をフランチャイズとして運営する「DWE Japan」(千葉県成田市)の裁判(民事)が、本格的に始まりました。14日に訴訟の第1回口頭弁論が行われております。

学生が法律に反して長時間労働などを強いられるブラックバイトに関する初めての裁判が9月14日に行われました。被害者は殺人未遂罪・暴行罪・恐喝罪・脅迫罪で告訴状を提出していました。

◆122日連勤、暴言、20万円自腹購入、殺人未遂というブラックバイトの地獄
飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズ店舗でアルバイトしていた21歳の男子大学生が運営会社の「DWE Japan」を相手に慰謝料や未払い残業代など約800万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が千葉地裁で行われましたが、被告のDWE Japanの川井直社長のとんでもない発言が批判を呼んでいます。
(中略)
川井直社長は予告なしに意見陳述を始め、被害者学生を攻撃した挙句に傍聴席に向かって「マスコミの皆様」に対し「しゃぶしゃぶ温野菜」という名前を報道しないでほしいと「お願い」を始めたのです。

しゃぶしゃぶ温野菜の「ブラックバイト裁判」、被告の運営会社DWE Japan社長がマスコミに店名を出さないよう「お願い」 BUZZAP 2016/9/15

 社長がマスメディアに報道するなと叫んだというニュース。

大手飲食チェーン店でアルバイトをした大学3年の男子学生(21)が4カ月間無休で働かされ、元店長に包丁で刺されたなどとして、店の運営会社「DWEJapan」(千葉県成田市)に未払い残業代や慰謝料など計約800万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、千葉地裁(小浜浩庸裁判長)で開かれた。男子学生と会社側の双方が意見陳述した。
 男子学生は勤務が1日12時間を超え、元店長から暴力を受けるようになった経緯を説明し、「誰にも相談できず苦しかった。暴力や脅しで辞めさせないことは許されない。このようなことがないよう裁判所には適切な判断をしてほしい」と述べた。
 同社社長は「未払い残業代などは直ちに支払う意思がある。残り600万円の慰謝料は裁判所の関与の下、解決を図っていきたい」と述べ、「(大学生は)会社や私の自宅で『今すぐ土下座しろ』と発言した。暴言は良くない」とも主張した。
大学生「適切な判断を」 地裁初弁論 2016/9/14 毎日新聞

 そして、こちらは、包丁刺す等しておきながら、原告の大学生に対し、「暴言は良くない」と言ったという報道です。双方、「盗人猛々しい」という言葉が過不足なく当て嵌まります。あまりにも酷いとしか言いようがありません。
 しかし、この件は、6月に刑事告訴が行われている(参考、産経新聞の記事)にも係わらず、現段階で刑事事件として扱われておらず(音声等の証拠があるにも関わらず)、原告の努力によって行われる民事訴訟がやっと開始されたという段階です。そもそも、被害者である原告大学生が「誰にも相談できず苦しかった」と言うくらいに、長期間救済がなされなかったのが現状です。残念ながら、労働関係については、まだまだ司法の諸々が不十分としか言いようがありません。
 そもそも、裁判は、長い時間と大きな手間がかかります。また、弁護士費用等の資金も必要です(相手側が全面敗訴した場合は、費用は全額相手側負担になりますが)。ここまでひどい事例であっても、相手側が非を認めない場合、どうしても裁判の必要が出てきます。
 近年においては、労働審判等気軽に行えるものが整備されつつありますが、まだまだ不十分な点も多いので、この点の改善も至急お願いしたい所です。

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