勤労統計の不正調査問題での、労働者側への影響は

 厚生労働省の勤労統計が、不正な状態であったというニュースが流れてきました。

厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査問題で、不正なデータを補正するために必要な基礎資料のうち、2004~11年分が紛失や廃棄されていたことが判明した。同省が17日の総務省統計委員会で明らかにした。統計委員会の西村清彦委員長は統計として成立しない可能性に言及。厚労省は引き続き資料を探す方針だが、政府の基幹統計に穴が開く異例の事態に発展する可能性が出てきた。
厚労省や総務省によると、欠損しているのは(1)07年1月分の事業所からの回答書(2)10年に事業所の業種分類方法を変更した際の基礎資料(3)10年以前の雇用保険データ――など。(2)と(3)はデータを実態に近づける補正作業に必要だという。(2)の一部は既に廃棄されたとしている。
(中略)
 毎月勤労統計は雇用保険や労災保険の給付額を算定する基礎資料になっている。厚労省は追加給付額を算出する際、資料が残る12~17年の給与額が不正調査による額より平均で0・6%増えていたため、この値を当てはめ、過少給付は総額567億5000万円と推計したという。

勤労統計の資料を廃棄 厚労省04~11年分、再集計は困難 2018/1/17 毎日新聞

 厚労省は04年分調査から、本来は従業員500人以上の事業所は全て対象とするルールだが、東京都内分を3分の1程度抽出して実施。全数に近づけるデータ補正もしていなかったため、平均給与額が低く算出された。その影響で雇用保険や事業者向けの助成金などに過少給付が生じている

勤労統計不正 賃金伸び率を下方修正 雇用保険を3月に追加給付 2018/1/24 毎日新聞

 不正問題が多岐に渡る為、まだまだ筆者も把握出来ていない部分は多いですが、給与の統計や雇用保険のデータ等に不正があったということです。これについての背景については、うやむやにせずに最後まで調査がなされることを願いますが、今回はこれらの問題で影響を受ける労働関係のものについて、いくつか挙げてみます。

雇用保険、労災の給付
 これはニュース記事にもあるように直接的な影響がある為、影響は言うまでもないでしょう。

②雇用保険の徴収率
 雇用保険徴収率も、雇用保険受給状況によって変わります。受給者が多ければ率は増え、少なければ減るのが一般的です。今回、過小給付が問題になって居る為、逆に徴収率は上がる可能性があり得ます。

③高度プロフェッショナル制度の計算
 来年4月施行予定の「高度プロフェッショナル制度」は、適用労働者の賃金見込み額基準を「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること」とあり、今回のように給与額が低く見積もられれば、元来適用除外者にも適用され得ます。

 思いつく限りでもこれだけありましたが、精査していけばもっとあるように思えてなりません。それ故、一刻も早い調査の正常化を願いたい所です。


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